2018 Fiscal Year Research-status Report
日英同盟期の外交と日本文学及び文化に関する基礎研究1880s-1920s
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17K02483
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
西村 将洋 西南学院大学, 国際文化学部, 教授 (70454923)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジャポニスム / 芥川龍之介 / 在外日本語資料 / The British Library |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の特徴は、19世紀にヨーロッパやアメリカで発生した日本文化に関する流行、いわゆるジャポニスムに注目し、欧米における見解だけでなく、ジャポニスムに関する海外の動向を学んだ日本人の側にも焦点をあて、欧米と日本の双方向的な視野から、文化活動と国際政治の関連性を考察することである。 特に日英同盟期(1902-1923)に注目して、英国で発行された関連文献や、渡英した日本人に関する資料を収集・分析することで、実証的な視座を確保しつつ、文学、美術、外交によって構成される複合領域を探求することが主要な研究目的である。 2018年度は以下の活動を行った。 1)芥川龍之介に関する研究:日本と英国の文献収集を積み重ねていく過程で、芥川龍之介の重要性が明らかになった。芥川には渡英経験はないが、東京帝国大学の英吉利文学科で学んだ芥川のもとには、同時代の海外文献が豊富に集まり、しかも芥川は欧米発のジャポニスムと、ジャポニスムを受容した日本人の側の双方に対して、本質的な問題提起を行っていた。以上の点について、査読付き学会誌で発表した拙稿「失われたテクストを求めて――芥川龍之介とグローバル・ジャポニスム」(『日本文学』日本文学協会 2018.12.)で考察した。 2)データベースの作成:前年度に引き続き、日本国内(国立国会図書館ほか)で資料収集を行うとともに、今年度はThe British Library(ロンドン)を利用し、英国で発行された定期刊行物を延べ数で28年分調査した。これらの資料は日英同盟期に日本人が関与していた雑誌群であり、複数の有益なデータを収集することができた。また、この調査で得られた情報(出版社の住所など)を踏まえて、ロンドン市内でフィールドワークを行い、合計22カ所の関連スポットについて地理的なデータを収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、2018年度に予定していた英国での調査を実施することができた。 ただし今年度の調査の結果、当初の想定よりも多くの関連資料が存在することが判明した。それらの資料群をどう扱うかが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、当初の計画よりも多くの関連資料が存在することが分かった。より長期的な視野で、今後の計画を再考していく作業を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
わずかながら次年度使用額が生じてしまったが、適切なかたちで使用していきたい。
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