2018 Fiscal Year Research-status Report
戦前期の中国・樺太で刊行された日本語図書(文学関係中心)の書目総覧の作成
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17K02484
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Research Institution | Osaka Gakuin Junior College |
Principal Investigator |
竹松 良明 大阪学院大学短期大学部, 経営実務科, 教授 (30249396)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外地本 / 上海蔵書楼 / 北京国家図書館 / 大連図書館 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度における研究の概要としては、上海図書館別館の徐家わい蔵書楼所蔵の日本語書籍目録から本研究テーマに即した<外地本>の抽出およびその書目作成作業がほぼ90パーセント近くに達したことである。同書籍目録には旧満州を含む戦前期中国大陸で刊行された日本語書籍(すなわち外地本)のうちのほぼ9割近くが所蔵されているが、そのうちで日本の国会図書館所蔵のものは四分の一程度と推定される。したがって、これまでにその本の存在自体が未確認であるものが非常な数に上る。ただし、旧満州で刊行されたものについては所蔵率はほぼ5割程度と推測される。旧満州で刊行された<外地本>については、やはり大連図書館の所蔵率が圧倒的に高くなるが、その大連図書館の閲覧規制が現在も依然として厳しいため、中国の図書館でほかに頼れるものは北京の国家図書館以外にはない。その国家図書館では所蔵日本語書籍の目録が作成されていないために、確認したい本のタイトルを一冊ずつ端末で検索しなければならず、さらに閲覧の冊数が一回に本は3冊まで、雑誌は10冊までと制限されるので蔵書楼に比べて作業に多くの時間を必要としている。しかし、北京の国家図書館以外の中国の有力図書館、すなわち南京図書館、蘇州図書館、漢口図書館、浙江図書館、その他に当たってみても戦前期の日本語書籍を多数所蔵している図書館はほぼ皆無と言ってよい。したがって、大連図書館の閲覧規制が厳しい以上、上海蔵書楼と北京国家図書館の二つだけに絞られてしまうことは確かである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上海蔵書楼所蔵の戦前中国(旧満州を服務)で刊行された日本語書籍のうち、文学関係のものを中心に、それと隣接する歴史・文化などの領域のものも取り込んだ書目の作成を進めてきた。上海蔵書楼における作業は本年3月の時点でほぼ9割以上が終了したが、過去の閲覧申請時に閲覧できなかったものが一定数残ったため、本年夏にはその未確認のものについて書目を作成して、蔵書楼所蔵日本語書籍のうち本研究テーマに即した書目作成の原稿が一応完成される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上海蔵書楼所蔵の戦前中国刊行の日本語書籍のうち文学および隣接領域の本の書目作成についてはほぼ予定通りの推進状況にある。一方、本研究課題のうちの樺太刊行の書籍に関する書目作成については、その後の調査によって、文学関係の書籍が極めて少数である事実が判明した。そのため樺太刊行の書目作成計画を中止して、戦前期中国刊行の文化雑誌の総目次作成作業に切り替え、すでに『戦前期中国関係雑誌細目集覧』(三人社、2018年)を刊行、今後同様のものを続編、続続編まで作成する予定である。
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Causes of Carryover |
上海蔵書楼での作業自体が本科研費適用以前から進められていたために、当該書目作成のための撮影費用が少なくて済んだためである。本年の夏および来年二月の中国での作業では当初の外地本書目作成以外に、戦前期中国発行の日本語文化雑誌の細目を作成するため、その撮影費用に回す予定である。
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Research Products
(13 results)