2018 Fiscal Year Research-status Report
山村暮鳥「説教メモ」の総合的研究 ―明治大正における詩的言語形成の底流の解明
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17K02485
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Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
竹本 寛秋 鹿児島県立短期大学, その他部局等【文学科】, 准教授 (20552144)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本近代詩 / 原稿研究 / 日本文学 / 近・現代文学 / 国文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては「説教メモ」の翻刻・注解を行い、同時代的状況を明らかにした上で、「説教メモ」と山村暮鳥の詩的言語の関係を明らかにし、さらに、他の詩人の詩的言語との交錯の状況を明らかにすることが目標となる。二年目となる今年は、「説教メモ」の翻刻作業を進めるとともに、山村暮鳥の詩的言語の特質を明らかにする検討作業を開始した。 具体的な作業としては、前年度行った整理を元に、個別の「説教メモ」の翻刻作業を行った。翻刻が終了したテキストについて、内容の検討を行った。さらに、山村暮鳥の詩作品を、その言語的な特徴に着目して分析する作業を行った。 この作業を通して、山村暮鳥の詩について、句読法に着目して、表現意識の変遷を明らかにした論文「山村暮鳥『聖三稜玻璃』と句読点の消失」(『雲』第23号、2018.9、pp.2-11)を発表した。同じ問題意識をもとにして、薄田泣菫を分析した論文「薄田泣菫『白羊宮』における句読点の戦略」(『西日本国語国文学』第5号、2018.10、pp.1-15)を発表した。二つを併せて、明治30年代から大正期にかけての、詩の表現意識を明らかにする方法論を作る基礎を構築することができたと考えている。一方、翻刻作業については、対象の多さもあり、引き続き作業を進める必要がある。また、翻刻されたテキストについては、適切な注釈作業が必要となるなど、今後の課題も明らかになってきている。 メモの内容の検討のために、同時代の関連書籍の蒐集を引き続き行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
翻刻すべき「説教メモ」の量が膨大であり、多くの時間が必要となる。また、適切な注釈作業を行う必要があるため、想定よりも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、引き続き「説教メモ」の翻刻作業を行うとともに、内容の解読を進める。また、関連書籍、雑誌等の調査を行い、メモの背景情報に関する文献の収集と検討を行い、適切な注釈をつけられるよう作業を進める。得られた知見は論文として継続的に発表する。
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Causes of Carryover |
年度末に調査出張を行う可能性があったが、行わなかったため使用残が発生した。本年度に行う。
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Research Products
(2 results)