2020 Fiscal Year Research-status Report
Gender Studies on Representations of Siblings in Modern British Drama
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17K02489
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
岩田 美喜 立教大学, 文学部, 教授 (50361051)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イギリス・アイルランド演劇 / 家族表象 / ジェンダー論 / 女性表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本来の当該研究課題最終年度であった2020年度は、研究の成果を口頭および出版の形で発表することを中心とする予定であった。だが、2020年2月頃よりコロナウィルス感染拡大のために参加予定であった学会がいくつか中止となり、残念ながら2020年度には口頭発表の研究実績をあげることができなかった。 その一方、論文のかたちでの研究成果の発表は順調であり、英語による論文2本、日本語による論文2本の合計4本を2020年度のうちに発表することができた。 このうち "Tony Lumpkin in and out of Sweet Auburn: The Literary Topography of Oliver Goldsmith's She Stoops to Conquer" は、18世紀後半に特に文化の中心地としてロンドンと結びつけられて流行した感傷喜劇というジャンルに対し、アイルランド出身の劇作家ゴールドスミスの『負けるが勝ち』という戯曲は、在所不明の「リバティ・ホール」という屋敷を舞台設定し、そこに住むトニー・ランプキンとケイト・ハードカースルという義理の兄妹を中心に、喜劇に新たな時空を確立する試みであったことを論じた、当該年度の中心的な研究実績である。 そのほか、日本語論文の中心的成果としては、17世紀初頭の劇作家トマス・ミドルトンの初期風刺喜劇における女性表象を論じた Shakespeare Journal 掲載の論文があげられる。これら4本の論文が扱う時代は17世紀初頭から20世紀および、家族とジェンダーの問題を広い射程で論ずる当研究課題を遂行するための研究対象の選択も、偏りなく順調に行えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記「研究実績の概要」にも記載したが、2020年度はコロナウィルス感染拡大のために研究の進捗が大きく遅れることとなった。具体的には、(1)予定していた海外での資料調査が、渡航制限により不可能になったこと、(2)成果発表を予定していた学会が中止となり、口頭発表の場を失ったこと、(3)最終的な研究成果の一部とする予定であった単著の刊行について、出版社が刊行時期を2年ほど遅らせる調整を始めたこと、などが大きな理由である。 このような事態を受け、当研究者は2021年1月に科学研究費補助事業の補助事業期間の延長を申請し、3月に承認された。日本におけるコロナウィルス感染状況は今なお予断を許さないものの、学会などはオンライン化の状況が整えられ、口頭発表の場などは戻りつつあることから、2021年度中に2020年度の遅れを取り戻せる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、科学研究費補助事業の補助事業期間を延長された上での、新たな当該研究課題の最終年度となるため、2021年度中に当研究課題の成果を取りまとめ、発表する予定である。口頭発表については、すでに2件の機会が決定している。このうち、5月開催の日本英文学会シンポジウムについてはオンライン学会となることが決定しているが、11月開催の日本イェイツ協会=日本パウンド協会合同大会については、対面で行うかオンラインで行うかを協議中である。 また、2021年度中に2本の論文を発表する予定であるほか、2022年度中に出版予定の単著の原稿を2021年度末までに入稿し、研究の総括としたい。 本研究は演劇というパフォーマンス・アートを扱う研究であるため、最終年度であっても継続的な現地での資料調査は欠かせず、海外渡航の見通しが2021年度も立たないのは研究遂行における障碍ではあるが、近年では配信やデジタル・アーカイブなど、デジタル・ヒューマニティーズの環境が整って来ているため、これらを最大限に活用することで、研究遂行に大きな支障が出ないように務める予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は本来は当該研究課題の最終年度であったが、コロナウィルス感染拡大のために予定していた学会出張や資料調査に旅費を使用することができず、研究遂行上、また研究費執行上の大きな阻害要因となった。 これを受け、2020年度は科研費補助事業の補助事業延長を申請し、承認されたものの、2021年度においても、海外渡航制限が解かれる見通しが立たず、多くの学会もオンラインで開催される予定であることから、繰越となった2021年度使用額である366,024円は主に文献資料などの物品費に充て、これ以上の遅滞なく研究の遂行を進める予定である。
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Research Products
(4 results)