2018 Fiscal Year Research-status Report
ロマン派期英文学における叙事詩の様態-スコットとホッグの詩作品を通して
Project/Area Number |
17K02498
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉野 由起 三重大学, 人文学部, 准教授 (90707291)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 英文学 / 叙事詩 / ロマン主義 / ジャンル実験 / ウォルター・スコット / ジェイムズ・ホッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間2年目にあたる平成30年度には、前年度に着手したEdmund Spenserによる二作品 (The Shepards Calendar および The Faerie Queene)の読解分析と、David Duff, Herbert Tucker, Simon Dentith による叙事詩の先行研究の検証を中心に、ロマン派期におけるジャンル意識・ジャンル実験、「叙事詩」というジャンル像を理解する上で必須である予備作業を継続して進めた。上記と並行して、本研究課題の主な対象であるJames Hogg の叙事詩 The Queen’s Wake の読解分析も開始したが、同作品には1813年版と1819年版の二つの版が存在し、スコッツ語による記述も含むため、読解には相当の時間を要しており、予定より作業が遅れている。 上記の状況に加え、夏期には所属大学における海外語学研修の責任者として現地引率も担当した為、夏期に実施を予定していたスコットランド国立図書館、エディンバラ大学図書館、オックスフォード大学附属ボドリアン図書館における資料の調査を同時期に行うことが困難となった。この為、海外(英国)における文献資料調査は次年度に延期し、本年度は日本国内での文献調査に専心した。 なお、次年度開催が予定されている学会で実施予定である、「英文学と脇役」をテーマとするシンポジウムの企画を開始し、「Walter Scott、歴史小説と脇役」という内容を扱う研究発表の構想と準備に着手した。本研究課題とも関連するテーマである為、これまでの本研究課題の成果を、間接的ではあるものの、還元できるよう努力を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Hogg および Spenserの叙事詩作品の読解分析に相当の時間と労力を要している為。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は過去2年間に行った文献調査を継続し、特に前年度に開始したホッグの作品二篇の読解分析に重点を置きつつ、成果を論文にまとめる作業を進め、特に過去二年間で土台の作成を進めてきたHoggの叙事詩に関する論文の執筆作業を進める。
夏季にはオックスフォード大学附属ボドリアン図書館にて、集約的に文献資料の調査を行う。
秋季には、本研究課題とも密接にかかわるScottの歴史小説について、シンポジウムでの発表を行う予定であるため、その準備も並行して行う。
|
Causes of Carryover |
夏期に予定していた海外(英国)での文献資料調査を次年度に延期し、国内での文献調査に専心したため。この過程で、次年度に実施する予定であった文献の購入を前倒しして、本年度に行ったため、繰越額は少額となっている。
|