2021 Fiscal Year Research-status Report
ロマン派期英文学における叙事詩の様態-スコットとホッグの詩作品を通して
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17K02498
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
吉野 由起 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (90707291)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 英文学史 / 叙事詩 / ロマン派 / Walter Scott / James Hogg / フォーク・リヴァイヴァル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度もイギリス・ロマン期文学・芸術運動におけるジャンル意識や叙事詩という形式・修辞法の意義を再考するため、一昨年から進めている(1)ウォルター・スコットによる物語詩Marmionと初期の歴史小説Waverleyにみられる叙事詩性、(2)スコットによる叙事詩観の解明を目指した文献資料の読解分析の継続を目指した。 (1)については特に両作品における「自然」の用法に焦点を当てた論文執筆の作業に着手し、叙事詩およびロマン派期文学における「自然」に関する文献の収集および読解分析を開始し、2022年度内に原稿を完成する予定である。この作業を進める過程で、スコットの初期の作品を、特にジャンル意識と実験性という観点で読み解く上で、ジェイムズ・ホッグの存在は、伝記的な事実としてのスコットとの関わりのみならず、ホッグ自身の作品にみられる先鋭的なジャンル実験の試みという点で看過することができないという点を改めて確認した。このためホッグの初期の作品の軌跡を検証する作業も開始しており、別途論文にまとめる予定で作業を進めており、こちらも2022年度内に原稿を完成することを目指している。 以上、2022年度内に完成予定の論文二篇の準備を進めたため、2021年度内には論文を完成することができなかった。 (2)については、関連する文献資料を十分に収集することができておらず、次年度に作業を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響が続き、本務校での対面授業の一部再開やハイフレックス授業等の対応等に時間と労力を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ウォルター・スコットによる物語詩Marmionと初期の歴史小説Waverleyにみられる叙事詩性については、「自然」の用法に焦点を当てた論文の執筆を継続し、完成させる。 (2)ジェイムズ・ホッグの初期の作品の軌跡と叙事詩創作への展開を考察した論文の執筆を継続し、完成させる。 (3)スコットおよびホッグによる叙事詩観に言及する文献資料については収集と読解分析を継続し、イギリス・ロマン期文学・芸術運動におけるジャンル意識や叙事詩という形式・修辞法の意義を再考する作業の足掛かりとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響の為、出張を伴う文献収集作業の実施が困難な状況が続いており、スコットおよびホッグの叙事詩観についての文献資料を十分に収集することができなかったため。次年度にこれらの資料収集を行うための次年度使用額とする。
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