2017 Fiscal Year Research-status Report
初期近代英国演劇におけるキルケ神話の表象に関する考察
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17K02499
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣田 篤彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (40292718)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 初期近代 / 英国演劇 / キルケ / 神話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、John Fletcher, The Tamer Tamedを研究の中心に置き、この劇におけるキルケ神話の表象について、William ShakespeareのThe Taming of the Shrew、The Merry Wives of Windsorなどとの比較における分析を試み、この成果を、'Circean Wives and Blending of Myths in The Merry Wives of Windsor'として口頭発表した。本発表では、女性登場人物たちが男性登場人物の姿を様々に変える様相をキルケ神話と重ね合わせながら分析し、特に、その中でフォールスタフが魔女に変装させられることに注目した。さらに、この劇のサブテクストとして従来から指摘されてきたアクテオン神話との混交について考察をした。 上記の発表論文作成の過程で、複数の神話が初期近代演劇テクストのサブテクストとなっていることが確認されたため、初期近代英国演劇と古典古代神話一般に関する考察を進め、中でもトロイ神話ついての考察の一部を、'Hybrids and Bastards: The Erosion of Trojan and Greek Identities in Troilus and Cressida',「『ハムレット』のヘキュバ――“The mobled / inobled queen”」として発表した。 あわせて、Henry Iden, Circeの本文校訂を進め、この著作の初期刊本の2つのヴァリアントを比較しながら、本文テクストの整理を行い、これについては概ね完成し、引き続き注釈の作成を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
校務等の日程により、国内外の図書館における資料収集に十分な時間が取れなかったため、テクスト本文分析に若干の遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、この年度の中心的な研究対象となるBonducaと併せて、平成29年度の主たる分析対象であったThe Tamer Tamedの分析を行い、両者の比較、ならびに、他劇作家との比較まで研究を進展させる。
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Causes of Carryover |
平成29年度は校務等の日程により、予定していた国内外での資料収集に十分な時間が取れなかったため、その分をあわせて平成30年度に実施することを計画している。
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