2021 Fiscal Year Annual Research Report
Representations of Circe Myth in Early Modern English Drama
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17K02499
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣田 篤彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (40292718)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 初期近代 / 戯曲 / キルケ / 古典神話 / 英文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き海外における資料調査ならびに研究成果発表の機会が失われている中、研究最終年度として、過去の研究を総括し、かつ最終的な研究成果をまとめる作業を実施し、具体的には以下の二つの研究を行った。 a)John Fletcher, _The Tamer Tamed_と_The Island Princess_に顕著に見られる、キルケ的な誘惑者が誘惑され「変身」する逆転現象に着目し、後者におけるその様相をキリスト教徒のヨーロッパ人による非キリスト教・非欧州地域の「征服」という文脈において詳細に検討した。この際、同様の主題を扱ったPhilip Massinger, _The Renegado_における現象との類似点、相違点に特に着目し、この比較で得られた知見を活用している。 b)これらの劇作家におけるキルケ神話の書換えをシェイクスピアの例と比較した。特にフォールスタッフという複数の戯曲に登場する人物に焦点を当て以下の2つの側面を検討した。1)_The Merry Wives of Windsor_におけるキルケ神話(を含む古典神話)と聖書の記述との交錯のあり方を分析した。(以上2つの研究成果は2022年10月に予定されているPaul Valery大学への招聘時に講義・講演の形で発表する予定となっている。)2)歴史劇を含むこの登場人物の行動域を、その基となった歴史的人物の活動範囲と重ねながら考察し、一貫して見られる周縁性、境界性を検討した。これについては2021年3月に発表する機会を得ている。さらに、古典古代以来のキルケ、または、その子孫と見なされる魔女達が存在する場所の周縁性との関係に考察を広げている。
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