2021 Fiscal Year Research-status Report
現代英米児童文学におけるジェンダーを超える女性像を提示する作品における男性表象
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17K02504
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 秀子 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (70179092)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジェンダー / ジェンダー関係 / ジェンダーを超える女性像 / 男性表象 / 英米児童文学 / 女性性 / 男性性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「現代英米児童文学におけるジェンダーを超える女性像を提示する作品における男性表象」の実施にあたり、令和3年度は、以下のことを行った。 (1)引き続き、本研究課題に関連した作品、資料、関連文献などの収集を行った。 今年度は、作品の収集に加えて、男性学や男性性に関する文献の収集にも力を入れた。(2)これまでの研究期間に収集した作品の分析・分類を引き続き行った。 (3)ジェンダーを超える女性像を含む英語圏および日本の児童文学作品における男性像のデータベース化をさらに進めた。 (4)収集した男性像の分類や特徴の抽出を進め、ジェンダーを超えるヒロインとの関係性や影響力などについて分析を進めた。(5)本研究によってこれまでに得られた知見をもとに、ジェンダーを超える女性像を含む作品における男性像と男性性の分析をすすめ、研究課題の論考の深化をはかった。 (6)本研究によって得られた成果の一部を国際学会で発表した。“The Pedagogic Aspect of Girl-Power Anime: HUGtto! Precure as a Tool to Promote Gender Equality and Female Empowerment,”The 25th Biennial Congress of The International Research Society for Children's Literature. 以上の研究活動により、現代英米児童文学におけるジェンダーを超える女性像を提示する作品およびそれらの作品における男性表象についての分析、考察、理論化を進め、本研究を進展させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載した(1)研究課題に関連した文献、資料の収集、(2)収集した作品の分析・分類、(3)ジェンダーにとらわれない女性像を提示する作品における男性像と男性性のデータベース化、(4)ジェンダーにとらわれない女性像を提示する作品における男性像と男性性の分析と論考の深化、(5)日本の作品との比較検討、(6)本研究課題の成果の一部の発表と研究成果にもとづく論考の深化、に関しては、おおむね計画通りに進んでいる。今年度は、本研究によって得られた成果の一部を含む内容を、国際学会(The 25th Biennial Congress of The International Research Society for Children's Literature)で発表した。また、昨年度に引き続き、今年度も、コロナ禍の影響により、購入を予定していた重要な洋書の注文の取り消しや入荷の遅れが多発し、作品の収集と分析に少なからず影響が出たが、今後も作品や資料について収集と分析を進め、研究課題に関する論考をさらに深めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究課題に関してこれまでの研究期間に得られた研究成果について、さらに検討や精査を加え、ジェンダーを超える女性像を提示する作品における男性表象と男性性の持つ意味の分析を、さらに進める予定である。 今後の主な研究計画は以下の通りである。 (1)コロナ禍のため令和3年度中に入手できなかった作品や資料、関連文献などの収集を行う。(2)収集した作品の分析を続け、ジェンダーにとらわれない女性像を提示する作品における男性表象に関する分析と全体像の把握および理論的考察を行い、論考を深化させる。(3)本研究によって得られた成果の一部を学会発表や論文などで発表する。(4)可能であれば、市民向けの講演などにおいて、研究成果の一部を社会に還元する。(5)研究全体の総括を行い、本研究が明らかにしようとしている課題についての論考の執筆の準備をする。
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Causes of Carryover |
(理由) 令和3年度は、令和2年度に引き続き、コロナ禍のため、成果発表のための学会発表をする機会が減ったことに加えて、令和3年度中に入手できなかった作品や関連文献があったため、本年度使用予定だった助成金の一部を次年度に繰り越すこととなった。繰り越した助成金は、作品や関連文献の購入および学会での口頭発表や論文などにおいて成果発表を行うために、使用する予定である。 (使用計画) 次年度に繰り越す助成金は、研究課題に関してこれまで行ってきた研究を深化させ、学会発表あるいは論文において研究成果の発表を行うために使用する予定である。主な使途は、以下の通りである。(1)研究課題に関連した文献等の購入。(2)図書館、研究機関、学会などでの資料調査や研究情報の収集。(3)研究成果の発表(論文あるいは学会発表)に要する費用。
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