2017 Fiscal Year Research-status Report
The Study on the Relationship between Theme of Morality and the formation of the identity of a Nation in the Seventeenth and the Eighteenth century English Literature
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17K02506
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
園井 千音 大分大学, 理工学部, 教授 (70295286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 耕一 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (20274558)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 17世紀イギリス文学 / 西洋哲学 / 西洋思想史 / 自由思想 / ジョン・ミルトン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1640年代から1790年代までのイギリス文学における道徳的主題と国家意識形成の過程を文学的、思想的に分析し、イギリス文学の道徳的主題と国民意識の特質が1770年代ロマン主義時代に基盤として明確に形成されたことを証明する。 本年度は特に1640年代以降のジョン・ミルトンの政治的作品を中心に17世紀イギリス文学(ミルトン等)の道徳的主題と国家意識形成の思想的コンテクストの相互関係を検証した。具体的にはミルトンの1650年代出版の政治的散文を中心にミルトンの君主制廃止正当化と自由の概念との関係また、コモンウェルスとイギリス国民意識形成との関係について社会的哲学的資料分析において検証した。この結果、ミルトンの自由思想は1640年代から50年代におけるイギリス国家形成期において特に王政中心主義に代わる政治体系を望む革新的イディオロギーの機運と一致したことがより詳細に証明された。抑圧からの解放を望む自由思想は1660年の王政復古後もミルトンの思想に根強く維持される。この点については次年度以降、ミルトンの文学作品を中心に検証予定である。 また17世紀ヨーロッパにおける自然法の解釈も多様であることがホッブズ、デカルト、ルソー、ロックなどの哲学思想における自然法と自由の関連についての分析においてより明らかになった。この点については次年度もより広範囲かつ詳細に検証予定である。以上の研究は研究代表者が主に行った。関連する科学分野においては平田耕一研究分担者を中心に1640年代から1660年代における科学の発展をホッブズ、ボイル、ニュートンを中心に検証した。この結果、自然学問分野の細分化における科学の役割についてより詳細な検証が次年度も必要であることが分かった。平田耕一研究分担者との研究打ち合わせは研究進捗状況に合わせ必要時にその都度行い、以上の研究結果について国内外で研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は特に1640年代以降のジョン・ミルトンの政治的作品を中心に17世紀イギリス文学の道徳的主題と国家意識形成の思想的コンテクストの相互関係を検証した。具体的にはミルトンの政治的作品を中心にミルトンの君主制廃止正当化と自由の概念との関係また、コモンウェルスとイギリス国民意識形成との関係において社会的哲学的資料分析において検証した。またイギリス市民戦争時の国家的危機感の高まりと人間と社会の関係についての哲学的思考発展との相互関係の検証は、自然法解釈などを中心として次年度に引き続き詳細な分析する予定である。また当時の文学作品の主題と社会における人間の自由実現との関連を文学的哲学的資料分析を行った。その結果、17世紀後半においてイギリス国民意識形成においてイギリス人特有の自由思想の萌芽が確認できた。この点については次年度も継続的に宗教的資料分析などもあわせて行う予定である。 以上の点についてイギリスにおける学会において特にロバート・サウジー『ジャンヌ・ダルク』とミルトンの政治的思想の関連において学会発表を行いかつ論文で報告した。また国内においてはミルトンと1650年代の自由思想について研究発表及び論文発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果を踏まえ、次年度は1650年代から1700年代のイギリス文学における宗教的思想と国家意識形成についてミルトン文学、(アングリカニズム、カトリシズム、ピューリタニズムの関係、宗教的寛容論を中心に)、形而上的思想(ジョン・ダン文学及び思想との相互関係等)と懐疑的精神との関連、また自然科学思想(ニュートン、ロバート・ボイル等)と神学思想の相克の関連を中心に分析する また17世紀ヨーロッパにおける人間の自由と自然法の関係について哲学的科学的資料分析において検証をさらにすすめる。具体的にはミルトンの思想における自然権と人間の基本的権利の関係の検証、またホッブズの社会と人間の関係を中心とした社会契約論思想のイギリス国民意識への影響の分析、ロックやルソーの人間の自然の状態と平等、また抵抗権の思想とイギリス人の自由思想形成の関係を検証する。科学的分野については、ボイルやニュートンなどの実学的科学の発展とイギリス社会の特有の状況について検証する。特に1640年から1700年代にかけての市民戦争時や王政復古また名誉革命などの社会的事象と科学発展の関連についても分析する。 これらの分析を中心にイギリス文学における道徳主題と国家意識形成との関連について検証を進める。
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Causes of Carryover |
研究の遂行上、次年度において特に17世紀イギリス文学における宗教的思想、懐疑思想及び科学的思想の国内及びイギリスの研究機関における資料収集及び関連学会の出席などが必要になったため旅費を繰り越す。また研究分析の結果整理のため謝金、その他、及び思想関連図書及び科学関連図書、文具類などの購入が必要なため物品費を繰り越す。
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Remarks |
書評 『タラバ 悪を滅ぼす者』ロバート・サウジー著 道家 英穂訳 作品社 2017年出版 図書新聞3342号 武久出版 2018年3月10日 発行
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Research Products
(3 results)