2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Study on the Relationship between Theme of Morality and the formation of the identity of a Nation in the Seventeenth and the Eighteenth century English Literature
Project/Area Number |
17K02506
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
園井 千音 大分大学, 理工学部, 教授 (70295286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 耕一 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (20274558)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | イギリス文学 / ミルトン / ロマン派文学 / 国民意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の3つの課題について分析した。第一に17世紀イギリス内戦時におけるジョン・ミルトンの自由思想とオリヴァー・クロムウェルの政治思想との共通点を中心に分析した。具体的にはミルトンの宗教的思想の変遷と社会における改革的機運の高まりとの影響関係を検証した。ミルトンの離婚論4部作における伝統的な結婚観に対する批判には長老派の信条に対するミルトンの疑義がありこれはクロムウェルを中心とする独立派ピューリタンのスコットランド長老派に対する反発と共通する点であった。内戦時においては、イギリス国内は政治的な対立に加えプロテストタント宗派間の複雑な思想的葛藤があったことを分析した。また上記内容と関連し、王政復古期のアンドルー・マーヴェルのクロムウェル三部作を中心に分析し、マーヴェル文学における人間性への洞察、また一貫した道徳的メッセージを明らかにし、マーヴェルの思想的変遷に対する批判的評価は必ずしも正しくはなく、むしろ社会的抑圧に対する批判と自由希求の重要さを示し、ミルトンと共通の特徴があることを証明した。 第二に17世紀イギリスにおける科学関連図書の出版状況を検証し近代科学の発展と国民意識の関連を分析した。この結果、宗教書、科学書を含む英語による出版物の増加がみられた。このことはイギリス国民の識字率の上昇及び実験サークルなどを中心とする自由な科学活動が展開していたことを示す。また社会的事象と出版物の増減の関連はさらに検証の時代を広げその関係性を検証する必要があることがわかった。 第三に17世紀の共和主義思想が18世紀イギリスロマン派詩人に思想的影響を与えたことをミルトンの自由思想との関連を中心に分析した。また今年度は研究最終年度であったため、これまでの研究結果をまとめた。次に本課題の検証をイギリス国民意識形成の萌芽期である16世紀後半以降からに拡大し継続研究する予定である。
|
Research Products
(7 results)