2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Toxic Discourse hinted by the Mythification of Narratives in Obama's Hiroshima Speech
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17K02519
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
岩政 伸治 白百合女子大学, 文学部, 教授 (90349142)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核なき世界 / 汚染の言説 / 人新世 / エコクリティシズム / 環境人文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度に実施した研究成果の具体的内容は以下の通りである。 歴史学の成果を社会に接続する上で、歴史を"reenact"「再現」するという行為が有効であるという考えが、歴史の範疇を超えた様々な言説についても普遍的に当てはめられうるという、歴史的再現の再評価と適応を、オバマ元大統領の「核なき世界」「広島スピーチ」の二つの演説、ウィリアムスのクリエイティブ・ノンフィクション『大地の時間』、そして、こうの史代のまんが『夕凪の街・桜の国』において確認したのが令和1年度の研究における収穫であり、そこでは歴史的再現(="historical reenactment")とその再現の行為体(="historical reenactor")という関係を、二つの可能性、再現の行為体を人間から環境に拡張しうること、また文学的再現とその再現の行為体との関係にと発展的に考察しうることが、新たな検証内容として浮上した。 令和2年度では、再現の行為体を人間から環境に拡張しうることの有効性と問題点を、特に文学的再現に注目して考察した。国内では『大地の時間』の考察結果を「記憶を語り継ぐための『一般的再現者』」(『日常の中の聖性』教友社、2021年3月20日発行の第3章所収)として上梓した。国外では研究書の出版で国際的に著名なラウトリッジから共同編集者および執筆者としてMushroom Clouds: Ecocritical Approaches to Militarization and the Environment in East Asia (Routledge Studies in World Literatures and the Environment)を2021年3月28日に上梓した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度前期は客員の研究者としてスタンフォード大学で在外研究を行っていたが、コロナ感染症拡大のために州政府の外出禁止令はより厳しくなった。キャンパスの完全閉鎖、図書館も研究室も使用できない状況が9月の帰国まで続いたため、一部のオンライン研究会を除いて研究者との意見交換は著しく遮られ、研究用の本もオンラインで手に入るものに限られてしまった。帰国後の同年度後期は授業のオンライン化対応に追われ、国内の学会も相次いで中止となり十分な研究環境と研究時間を確保することが叶わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で示した通り、帰国後も大学の遠隔授業対応に追われ、研究者同士が研究会を企画立案したりカンファレンスに参加したりという研究活動が「物理的」には難しい状況が続いている。今後の方策として、以下の2点を検討中である。 ①アメリカ・ソロー学会年次大会での発表:昨年度延期となった年次大会がオンラインでの実施となり、昨年応募し採択されたプロポーザルを修正して発表、研究者との意見交換を行う予定である。 ②11月に開催予定のISLE-EA国際大会に参加、上梓した2つの研究について意見交換を行う予定である。
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Causes of Carryover |
以下の3点が主な理由として挙げられる: ①想定していた国際学会がことごとく中止に追い込まれたこと②コロナ感染症拡大で想定していた出費が予想を下回ったこと③同じくコロナ感染症拡大で帰国後の国内学会への参加やリサーチのための出張を行わなかったこと 次年度は本研究に関連して国内外で発表した論考を国内、そして海外の研究者にレビューを依頼、フィードバックと意見交換を考えている。またワクチン接種拡大で各研究機関が再開されることを期待して、主に北米におけるる学会参加や研究会の開催などで必要とされる費用、を使用計画として考えている。
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Research Products
(5 results)