2017 Fiscal Year Research-status Report
日欧芸術の相互影響関係における唯美主義の展開と波及―ビアズリーから三島へ―
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17K02521
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
日高 真帆 京都女子大学, 文学部, 教授 (90407619)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ビアズリー / 三島由紀夫 / 唯美主義 / サロメ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日欧芸術の相互影響関係において唯美主義が果たした役割と波及効果を解明することである。その際、分野、国境、時代を越えた学際的研究を行い、世紀末芸術及びそれ以降の日欧の文学と視覚芸術、そして舞台芸術を関連づける。 具体的には、オーブリー・ビアズリーと三島由紀夫を繋ぐ軌跡を糸口に、唯美主義の展開と現代への波及効果を読み解く。それにより、文明開化以降の日本の文化的発展及び日欧文化の影響関係において唯美主義が果たした役割と今日的意義を明らかにする。また、日本国内外において、日欧の文化人や芸術作品を通して実現した双方向的影響関係も明らかにする。 本研究は、特に平成26年度から平成28年度に掛けて取り組んだ研究課題である「明治・大正時代の日欧演劇交流再考―イギリス・アイルランド演劇の生成と伝播を中心に―」を元に発展したものであるため、これまでの研究活動で培ってきた研究手法、集積してきた資料と既に得られた研究成果を踏まえた研究を行う。 平成29年度は関連する英文学作品やそれらの日本に於ける受容に関する資料を幅広く収集し、先行研究の調査も行った。また、共著 Wilde’s Other Worlds(2018年5月発行)に単著論文 “The Sexual Transfiguration of the Japanese Salome: 1909-2009”(英文)が掲載されることが決定し、論文を完成させた。本書は Routledge から出版されるワイルドの研究書である(Michael Davis、Petra Dierkes-Thrun編著、日髙真帆他10名著)。日本では早くから悲劇『サロメ』が活発に受容され、日本で受容が消極的であった喜劇とは好対照を成してきた。本稿では特に近代女優による初期のサロメ公演と現代のサロメ公演の比較対照を行い、ビアズリーや三島とも議論を関連付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は研究課題に関連する英文学作品やそれらの日本に於ける受容に関する資料を幅広く収集し、先行研究の調査も進めることができた。また、Routledge から出版される共著 Wilde’s Other Worlds(2018年5月発行)に単著論文 “The Sexual Transfiguration of the Japanese Salome: 1909-2009”(英文)が掲載されることが決定し、論文を完成させることができた。本書はオスカー・ワイルドに関する国際学会、"Wilde Days in Paris" での研究発表を基に実現した国際的共著であり、日本でのワイルド受容に関する拙稿が掲載される運びとなったことで、研究成果を纏め、公表する上で有意義な一年となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究計画・方法に記載した研究活動は、ほとんどが継続的研究を必要とするものであるため、それらの研究については、平成30年度も行っていくこととする。調査研究についても、毎年、図書館や資料館での調査を続けることとする。研究成果も適宜纏め、専門書や関連学会等で発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
海外出張に行く代わりに日本で論文執筆を進めて完成させたため使用額が当初の予算額を下回ったが、次年度に海外出張を行い、資料収集及び調査研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)