2020 Fiscal Year Annual Research Report
Representation of Global Civil War in Contemporary British Fiction
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17K02524
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
板倉 厳一郎 関西大学, 文学部, 教授 (20340177)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 英文学 / イギリス小説 / 世界的内戦 / テロ / トラウマ / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
論文"Screams and Laughter: Transfer of Affect in Nadeem Aslam's The Blind Man's Garden"が、学術誌Journal of Postcolonial Writingの56巻3号(2020年)に掲載された(356~369ページ)。ポストコロニアル文学研究においては植民地主義やネオコロニアリズムに対する「抵抗」にそぐわない情動構造は取り上げられない傾向にあるが、本稿ではナディーム・アズラムの『盲目の男の庭』(2013年)が9.11同時多発テロ以降の英語圏文学において「ありふれた」とされる感情をいかにうまく流用し、「ありふれていない」感情に接続しているかを議論した。 論文"Fearful and Shameful: Affective and Ethical Reactions to Modernity in David Mitchell's Cloud Atlas"が学術誌Critiqueに採用、掲載が決定された。2021年4月1日現在、オンラインで先行公表されている。これは、デイヴィッド・ミッチェルの『クラウド・アトラス』に見られる近代に対するふたつの情動反応、すなわち恐怖と恥辱が、いかに作品の倫理性や奇妙に希望に満ちたテクスチュアリティと結びついているかを論じたものである。 "Polyneices' Claim: Post-ISIS Male Fantasies in Kamila Shamsie's Home Fire"を学術誌に投稿した。これはカーミラ・シャムシーの『ホーム・ファイアー』に見られる「ポリュネイケースの主張」、すなわちイスラム国の誘惑に負けてしまったパーヴェイズ・パシャの願望の表象を、一方で下敷きにしたソフォクレスの『アンティゴネー』の様々な翻案と、一方でイスラム国についての言説と比較しながら論じたものである。2021年4月1日現在、審査中である。 この他、2021年5月にZoomにて開催される国際学会World Literature and the Minor (Zoom開催)での発表が決定し、2021年度以降に公刊される論文集Fear, Crisis and Anxiety in Europeへの分担執筆の申し込みも受け入れられている。
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Research Products
(3 results)