2021 Fiscal Year Research-status Report
ディケンズを中心とした近代英語の話法の発達を解明する研究へ向けたデータベース構築
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17K02525
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
島 美由紀 (西尾美由紀) 近畿大学, 工学部, 准教授 (50549524)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2023-03-31
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Keywords | 話法 / ディケンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ディケンズの話法による文体的特徴を記述するため,ディケンズの作品(電子テクスト)におけるスピーチに,社会言語学的観点を含め,発話者,発話者の性別,社会階級,年齢などの情報を加える作業を継続して行なっている.TEI(Text Encoding Initiative)のガイドラインに従い入力作業を行うことにより,他の研究者とデータの相互利用が容易に行うことが可能となる. 本年度は,日本英文学会中国四国支部第73回大会において「話法の歴史的発達」というテーマでシンポジウムを行なった.本研究の最終的な目的でもある「話法の歴史的発達」について,中英語まで遡り,初期近代英語,後期近代英語,さらに現代英語の各時代の文学テクストにおける話法に着目し,話法の歴史的な変遷を概観した.話法には伝達部のみならず,話法の連続体におけるカテゴリー間のシフトや口語性,パンクチェーション,話法の選択などまだ今後通時的に考察するべき課題が多くあることが分かった.「ディケンズにおける話法:直接話法を中心に」というタイトルで研究発表を行なったが,現時点では,作品において特徴的な登場人物には特徴的なスピーチがあるように,伝達部にも工夫が凝らされていることが分かっている.これは,当時の作品が分冊で発表されていることが大きく関わっているが,読者にその登場人物のジェスチャーや,口癖などを印象付けることができるようにするためである.今後,さらにアノテーションを付与する作業を他の作品にも広げることにより,滑稽な登場人物,あるいは特徴的な登場人物以外の周辺の登場人物に見られる特徴があるのかを調査していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
アノテーションを埋め込む作業に時間がかかっている.話者については問題ないが,発話を聞く側を特定するには,精緻な読みが必要であり,機械的に単純作業でアノテーションを埋め込むことができないため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度となるため,学会発表及び論文の投稿を予定している.ディケンズの作品にアノテーションを埋め込む作業は継続して続ける.当初は可能であれば,19世紀の同時代作家の作品にも社会言語学的視点も含めたアノテーションを埋め込む予定であったが,まずはディケンズの作品にタグ付けをする作業を優先し行う.
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