2022 Fiscal Year Research-status Report
ディケンズを中心とした近代英語の話法の発達を解明する研究へ向けたデータベース構築
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17K02525
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
島 美由紀 (西尾美由紀) 近畿大学, 工学部, 准教授 (50549524)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2024-03-31
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Keywords | 話法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,19世紀英国作家チャールズ・ディケンズが小説の中で使用する話法の文体的特徴を記述するため,電子テクスト化したディケンズの作品におけるスピーチに,社会言語学的観点を含め,発話者,発話者の性別,社会階級,年齢などの情報をアノテーションとして加える作業を継続して行なっている.TEI(Text Encoding Initiative)のガイドラインに従い入力作業を行うことにより,他の研究者とデータの相互利用が容易に行うことが可能となる. まだ十分な量の作品にアノテーションを付与する作業が終了していないため,作家ディケンズとしての文体的特徴までは明らかにすることができていないが,これまでの調査において,登場人物とその登場人物の発話に付随する伝達部には関連性があり,登場人物の性格描写を伝達部でも補っていることが確認できた.また,伝達動詞のみならず,伝達部付加詞である副詞,前置詞句,分詞構文においても,登場人物の特徴が如実に描写されていることがわかった.これは,当時の作品が分冊形式で発表されていることが大きな要因の一つとして挙げることができる.読者に登場人物のジェスチャーや口癖などを印象付けて,次回登場した際にすぐにその登場人物がどんな人物であるかを想起することができるようにしている.論文は執筆中であるが,本研究を通して読者への印象づけのみならず,細部にわたって人物像形成を行っているディケンズの文体的技巧が明らかになったと言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
電子テクストへのアノテーションを埋め込む作業に時間がかかっている.話者については問題ないが,発話を聞く側を特定するには,精緻な読みが必要であり,機械的に単純作業でアノテーションを埋め込むことができないため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度となるため,学会発表及び論文の投稿を予定している.ディケンズの作品にアノテーションを埋め込む作業は継続して続ける.19世紀の同時代作家の作品にも調査を進める予定であったが,まずはディケンズの作品にアノテーションを付与する作業を優先して行い,統計的手法を用い,分析し発表する予定である.
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Causes of Carryover |
体調不良で療養中となり,研究を十分に遂行することができず, 期間延長の申請をしたため. 関連する書籍の購入およびパソコンのデータ処理に時間がかかるようになってきたため パソコンを購入する予定である.
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