2017 Fiscal Year Research-status Report
W.B. Yeats, Pound, Hemingway and Kyogen: Poetics of Laughter and MA
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17K02542
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
真鍋 晶子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (80283547)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | W.B.イェイツ / 能狂言 / アイルランド / ラフカディオ・ハーン / 笑い / 間 / 詩学 / エズラ・パウンド |
Outline of Annual Research Achievements |
従来「笑い」と関連づけられることの少ないW.B.イェイツが、「笑い」の演劇たる狂言に劇作の突破口を見出したことを解明し、新局面をあぶり出すこと、また、日本的原理である「間」の詩学が英語圏モダニズムに果たす意義に光をあてることが本研究である。初年度の本年は日本とアイルランドの外交関係樹立60周年を記念する年であることから、本研究の実践として、イェイツが狂言として書いた『猫と月』を、大蔵流狂言の名家茂山千五郎家に新作狂言の形で7月アイルランド3カ所で演じてもらう企画を立て、実行委員長として、企画・運営にあたり、翻訳や公演に先立つ講演を行った。公演時には、同じくアイルランド出身でイェイツと交流のあったラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が日本で再話した『ちんちん小袴』の新作狂言化を茂山千五郎師に依頼、同時上演を行った。帰国後、10月滋賀大学が存在する彦根、11月ハーンゆかりの松江、また、3月滋賀大学第一回文化企画「W.B. イェイツとの邂逅」においても再演、その企画・運営・その際の講演も行った。本事業に関して、論文執筆・刊行・入稿、国内外の学会で論文発表、新聞記事、雑誌記事、学会会報、説明文などの形で諸処で発表した。加えて、イェイツ、ハーン以外のアイルランド文学者,さらにアーネスト・ヘミングウェイ、エズラ・パウンドに関する論文執筆、学会で口頭発表、書評などの執筆も行った。 2018年12月京都開催の第二回国際イェイツシンポジウムのオーガナイザーとして、国際イェイツ協会と企画も進めている。シンポの総合テーマを「イェイツと笑い」とし,『猫と月』の茂山家による公演も含む。 また、出張時に国内外でイェイツ、フェノロサ、ハーン、アイルランド現代作家や詩人の文献・資料調査。さらに、イェイツ、ヘミングウェイ、パウンド、能楽などの書籍・資料を充実。必要機器を揃え、研究環境を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度としての予定以上の進捗状況で、新たな共同研究も始めている。2017年度に予定していたのは、狂言公演企画・実施、学会発表、論文投稿、翻訳、実地調査、資料蒐集、研究環境整備であった。 以下、研究計画に挙げたことを確認する。1)「大蔵流狂言茂山千五郎家による「イェイツ、ハーン作品による新作狂言アイルランド公演を企画、公演時、能楽とイェイツ,ハーンについて講演」:実施。2)「狂言師、能楽師の聞き取り」:実施。3)「国際イェイツ協会他国際学会で発表」:実施。 4)「国内学会に参加・論文発表。委員や理事として、企画・運営」:実施。5)「国際イェイツシンポジウム企画」:実施。6)「論文執筆」:予定したものはほぼ執筆済。入稿して出版待ちのものも多い。7)「資料蒐集」:(国外)アメリカはJFK図書館には行かなかったが、ニューヨークで資料蒐集、またアイルランドでも蒐集。さらにアイルランド、コーク大学との共同研究も始めた。(国内)「松江小泉八雲記念館などで、文献・資料調査」実施。8)「図書・研究環境整備」: 整備中。 予定していなかったほど、イェイツと狂言、ハーンと朗読についての執筆や講演を行った。また、新たにアイルランド、コーク大学と詩人ジョン・モンタギューについての共同研究も始め、アイルランドとアメリカの移民・移動・境界についての研究も深めることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)論文執筆。2)能楽師の聞き取り:狂言方、シテ方、ワキ方、囃子方など。3)国際学会・講演会の企画・運営・論文発表・招聘講演:①2018年7月国際ヘミングウェイ協会大会(パリ)において、「ヘミングウェイの文体」についてのパネルで、ヘミングウェイの詩の文体について論文発表、②10月5th World Humanities Forum (the National Research Foundation of Koreaによる運営、UNESCO and the Ministry of Education, Koreaが共催)に招聘され、ラフカディオ・ハーンの作品と様々な表現媒体によるイメージの変容について発表。③12月第二回国際イェイツシンポジウム(京都)を、国際イェイツ協会,日本イェイツ協会と企画・運営、また論文発表。国際イェイツシンポジウムは、まさしく本研究と共通の「イェイツと笑い」をテーマとする。国際的に活躍する研究者と研究交流。学会で大蔵流狂言茂山千五郎家による狂言形式の『猫と月』(イェイツ原作)の公演を行うことで、2017年のアイルランド公演同様、本研究の成果を舞台で披露する。4)国内学会企画・運営・参加・発表:日本英文学会、日本ヘミングウェイ協会、日本イェイツ協会、IASIL JAPAN、日本アイルランド協会など。委員や理事を務める団体、特に日本アイルランド協会は4月から事務局長として、企画・運営も行う。5)文献調査・資料蒐集:(海外)コーク大学、ゴールウェイ大学(アイルランド);JFK ライブラリー,イェール大学(アメリカ);ブルネンブルク城(イタリア)などから選択。(国内)神奈川県立近代美術館、富山大学へルン文庫、松江小泉八雲記念館など。6)図書など文献購入、研究設備整備。7)詩人ジョン・モンタギュー(コーク大学)と、久米民十郎(国内研究者と)の共同研究も開始。
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Causes of Carryover |
昨年度予定していた旅費が国際交流基金など、他の資金によってまかなわれたため。それを本年度の研究旅費に充てる。
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Research Products
(11 results)
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[Book] ケルト文化事典2017
Author(s)
真鍋晶子、松村賢一、木村正俊他
Total Pages
424
Publisher
東京堂出版
ISBN
9784490108903