2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K02547
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
城戸 光世 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (10351991)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 19世紀アメリカ文学 / 旅行記 / 女性作家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は計3つの学会シンポジウムへの登壇を依頼され、当該課題に関する研究成果報告を行った。まず2021年5月9日オンラインで開催された九州アメリカ文学会年次大会では、「イーディス・ウォートン再読――生誕100周年を迎えて」と題するシンポジウムが開催され、登壇者の一人として、「ウォートンの旅行記に見るピクチャレスク美学」と題して発表を行った。最初にThe Age of Innocence (1920)やThe House of Mirth (1905)など彼女の代表的長編における旅のモチーフに言及した後、世紀転換期に移動と旅の人生を送ったウォートンのイタリア旅行記を主に取り上げ、そこに19世紀以来の英米の風景美学がどのように反映されているかを分析した。また9月11日には、日本ウィリアム・フォークナー協会のシンポジウム「作家とその妻/夫」がオンラインで開催され、「旅するホーソーン夫妻―創作と家庭の相克」と題し、ホーソーン文学に妻ソファイアのとりわけ旅行記における風景や自然の描写がどのように影響を与えたのかを論じた。同シンポジウム報告は、2022年4月刊行の学会の機関誌『フォークナー』24号にて特集論文として収録されている。また同年11月6日にオンラインで開催された日本英文学会関東支部第20回(2021年度秋季大会)シンポジウムI「十九世紀アメリカ文学における移動・移民」にも招待され、「女たちのアメリカ西部体験記 ――カークランド、フラー、ファーンハム」と題して発表を行った。19世紀前半のアメリカ中西部に実際に移り住んだ経験を持つキャロライン・カークランドとイライザ・ファーンハム、同時期に同じ地域を旅をしたマーガレット・フラーのそれぞれの西部体験記を取り上げて、19世紀アメリカ女性作家たちのそれぞれの西部体験とその記録の特徴を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年コロナウィルス感染拡大防止のために延期になった学会シンポジウムをはじめ、三つのシンポジウムに登壇し、研究成果を報告することができた。19世紀前半のアメリカ女性作家の西部旅行記から、アメリカン・ルネサンスを代表する作家とその妻の旅行記とその視点や文体の違い、20世紀初頭に活躍した女性作家イーディス・ウォートンのイタリア旅行記まで、当研究課題の成果については予定以上に時代を超えて様々な作家を取り上げることができた。コロナ禍のために、研究予定期間の最初に資料収集を行った際の調査結果と文献調査により、研究課題及びそれ以外の研究成果を広く学会発表や書籍論文等で報告できたように思う。ただ研究計画に入れいていたイタリアやアメリカ東海岸(ボストンとニューヨーク)などでの調査がコロナのために実施できず、延長してきた分、他の女性作家を取り上げるなど幅は広がったものの、可能であればどちらかでの現地調査を行い、その結果を再度次年度中に報告できたらと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題も海外での資料収集等が可能になるコロナの収束をまって、二年延長しているが、その間共著やシンポなどの形で色々と成果を発表できたように思う。しかし他の研究課題の依頼も増えてきたことから、次年度を最終年度とするため、まだ取り上げる機会のなかったセジウィックとストウのヨーロッパ旅行記を取り上げ、論文か研究発表の形でその研究成果を発表する予定である。ただし次年度は前半は、所属学会の記念論集2冊、学会シンポジウムの登壇が決まっており、同時代のアメリカ文学を扱うものの、女性作家の旅行記という研究課題とはずれがあるため、来年度の後半に集中してその研究をしっかりとまとめ、発表したい。
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Causes of Carryover |
本年度も昨年同様、コロナウィルス拡大防止の観点から研究計画で予定していた海外での現地調査が実施できず、収束をまっている状態である。もし次年度中に海外での資料収集が可能な状況になれば、夏に実施し、その成果を次年度後半に発表したいと考えている。しかしもし状況的に難しいようであれば、必要な文献調査のための文献収集や資料整理や英文チェック等の謝礼、さらには論文や図書出版などでの成果発表のために残りの予算を使用させていただく予定である。
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Research Products
(4 results)