2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02553
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
若林 麻希子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50323738)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ニューヨーク文学 / ヤングアメリカ運動 / 建国期アメリカ小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、ヤングアメリカ運動をニューヨーク文学の見地から評価するための調査・研究を行った。ヤングアメリカ運動は、ジョン L. オサリバンが中心となって、ジャクソニアン・デモクラシーを擁護する民主主義推進運動として興り、1840年代以降、「明白な宿命(Manifest Destiny)」をスローガンに拡張主義を唱えるナショナリズム運動へと展開した。ニューヨークを拠点としたこの運動は、アメリカ文学の成立に多大なる影響を与えたことが知られているが、それは主としてナサニエル・ホーソーン、エドガー・アラン・ポー、ハーマン・メルヴィルなどのアメリカン・ルネッサンス文学を代表する作家たちとの関係に基づく評価であった。そこで今年度は、ワシントン・アーヴィング、ジェイムズ・フェニモア・クーパー、そしてキャサリン・マリア・セジウィックといったニューヨーク文学の代表的担い手たちのキャリアの中に、ヤングアメリカ運動の影響を検証するために、基礎資料の収集および調査を行った。セジウィックについては、ヤングアメリカ運動に肯定的であったことが判明した一方、アーヴィングやクーパーに関する検証は未だ完了していないのが現状である。ただし、ヤングアメリカ運動が、ニューヨーク文学を(ニューイングランド中心の)アメリカン・ルネサンスに接続させる接点であることは間違いなく、この接点で何が起こっているのかを見極めることが主要な課題だと確信できたことは、来年度以降の研究の推進力になると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたアメリカでの資料収集・調査が校務の都合によって叶わなかったことに加え、予定外の国際学会での研究発表を行うなど、本研究課題を実施するための十分な時間が確保できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ワシントン・アーヴィングおよびジェイムズ・フェニモア・クーパーとヤングアメリカ運動との関係性に関する調査は継続して行われる一方で、ニューヨーク文学からアメリカン・ルネッサンス文学への転換点を把握するために、エヴァート・A・ダイキンクとナサニエル・ホーソーンの関係性に考察を加えるべく、資料収集・調査を開始する。特にナサニエル・ホーソーンについては、関係学会への参加や専門とする研究者との意見交換なども活用して、研究を進めたい。
|
Causes of Carryover |
(理由) 当初予定していたアメリカでの資料収集・調査が校務の為実施することが出来なかった。 (使用計画) 次年度のアメリカでの資料収集・調査のための旅費に充当する予定である。
|