2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K02553
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
若林 麻希子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50323738)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヤングアメリカ運動 / ナサニエル・ホーソーン / ワシントン・アーヴィング / ジェイムズ・フェニモア・クーパー / キャサリン・マリア・セジウィック / アメリカン・ルネサンス / 地方主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はナサニエル・ホーソーンのヤングアメリカ運動との関わりに関する資料収集/調査を重点的に行った。 本科研費研究では、ニューヨーク文学の流れの中で「アメリカン・ルネッサンス」と称されるアメリカにおける国民文学創生の営みを捉え直すことを目指しているが、その際、ヤングアメリカ運動を、ニューヨーク文学と「アメリカン・ルネッサンス」の接点と捉え、この接点でどのような文学的交渉がおこなれていたのかについて重点的に検証してきた。主にワシントン・アーヴィング、ジェイムズ・フェニモア・クーパー、そして、キャサリン・マリア・セジウィックに関する調査/研究から、1820年代には地方主義的な様相を呈していた文学が、1830年代になってヤングアメリカ運動が文学的ナショナリズムを牽引する形で存在感を高めたことを受けて政治性を強めたばかりでなく、ニューイングランドとニューヨークの間での文化的覇権競争の中で展開することを余儀なくされた歴史的流れを把握することが出来た。 2019年度におけるナサニエル・ホーソーンに関する調査/研究では、ニューイングランドに起源をもちながら、政治的にはニューヨークを基盤とする民主党に傾倒していたホーソーンのキャリアの中に、1830年代のニューイングランドとニューヨークの間での文化的覇権競争の影響を検証することを目指した。未だ結論には至っていないが、ホーソーンが同時代文学の地方主義的展開に懐疑的であったことは確かであり、そうした地方主義的な「しがらみ」から如何に抜け出し、国民文学へと舵を切ってゆくのか、その足跡をホーソーン文学における「個人vs.社会」のテーマに辿り、考察を深めることが次のステップになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた研究対象以外に本研究に取り入れたい対象が複数見つかったことに加えて、成果発表先として国際学会参加の機会を模索したが、開催時期や本務校での業務との関係で実現出来ていない。論文としての成果発表にも遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
ナサニエル・ホーソンに関する調査・研究はこれまで通り継続する。 参加予定であった国際学会がCOVID19の影響で2021年度に延期となり、更に成果発表の機会が減少したので対策が必要であると考えている。
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Causes of Carryover |
国際学会での成果発表を希望していたが、校務との日程調整が困難である等の理由により、発表先が手配できなかったことが旅費の未使用の原因となった。2020年度6月開催予定の学会で発表の機会を得ることが出来たが、COVID19の影響で一年延期となった。引き続き成果発表の機会を模索したいと考えいるが、Nathaniel Hawthrone関連の資料収集に充てる可能性も検討する。
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