2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02553
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
若林 麻希子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50323738)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ヤング・アメリカ運動 / ニューヨーク / ワシントン・アーヴィング / キャサリン・マリア・セジウィック / ジェイムズ・フェニモア・クーパー / ナサニエル・ホーソーン / アメリカン・ルネサンス / アンテベラム期文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はナサニエル・ホーソーンを考察対象とし、ニューヨーク文学と「アメリカン・ルネサンス」の関係性を検証した。本研究は、1830年代以降にニューヨークを拠点に展開した民主主義運動であるヤングアメリカ運動を通して、ニューヨーク文学がアメリカン・ルネッサンス文学に接続する瞬間を捉えることを目的としている。ホーソーンは、ニューイングランドの作家であると理解されるが、ヤングアメリカ運動の機関誌『デモクラティック・レヴュー』の創刊以来、24篇の短編・スケッチを同誌に寄稿することによって、ニューヨークとの関わりを深めようとする動きを見せている。当初は、このような身の振り方に、ホーソーン文学が(ニューイングランド)地方主義から脱却し、ニューヨークに連想される民主主義文学の流れの中で国民文学としてのステータスを獲得する契機を見出すことが可能だと予想していたが、2020年度の調査・研究では、ホーソーンによるジャンル的実験の軌跡をたどることによって、「ロマンス」という新たな小説ジャンルが内包する地政学に到達することができたと考えている。ホーソーンの「ロマンス」を特徴づける現実と想像が混在する「中間地帯」と表現されるテクスト性を、ニューヨーク文学とニューイングランド文学の融合といった言語で説明することの可能性が開けており、現在、学術論文として発表する準備を行っている。 また、2020年度は、2019年度より延期になったキャサリン・マリア・セジウィック学会での発表も6月に予定されていたが中止となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響により、当初予定していた国際学会での成果発表という点では、先が見えない状況が継続している。しかし一方では、文献調査に時間を割くことが出来た為、新たな考察対象として取り入れたナサニエル・ホーソーンに関する研究にも一定の成果を得ることが出来たと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は本研究の最終年度に当たる。そのため成果発表に重点を置くこととする。COVID-19の影響も考慮し、国際学会や国内学会での発表機会を模索するよりは、研究会での発表や学術論文の形で公表することに重点を置く。
|
Causes of Carryover |
2020年度6月に予定されていた国際学会での成果発表が中止となったことが主な原因である。旅費として消化することは現実的ではないが、今後、学会等での成果発表が可能になった場合の国内旅費および図書・資料購入費用として使用する。
|