2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02553
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
若林 麻希子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50323738)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ヤングアメリカ運動 / ニューヨーク / ナサニエル・ホーソーン / ジェイムズ・フェニモア・クーパー / アメリカン・ルネサンス / マーク・トウェイン / アメリカン・エピック |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、まず、ナサニエル・ホーソーンの「ロマンス」を特徴づける現実と想像が混在する「中間地帯」と表現されるテクスト性を、ニューヨークとニューイングランドの文化的融合といった言語で説明する可能性を突き止めた前年度の調査・研究をもとに論文「ナサニエル・ホーソーンとロマンスの地政学――『緋文字』を中心に」を発表した。また、第25回日本マーク・トウェイン協会全国大会シンポジウム「読書人トウェイン」に講師として登壇し、「トウェインとクーパーを繋ぐもの――トム・ソーヤー物語の叙事文学としての可能性」と題する研究発表を行った。マーク・トウェインによるジェイムズ・フェニモア・クーパー批判についての論考であるが、広く19世紀アメリカ文学史における叙事文学の位置づけについて考えることを通して、国民文学創生期におけるクーパーの新たな重要性を認識することとなった。本発表は「クーパーを読むトウェイン――トム・ソーヤー物語の叙事文学としての可能性」として日本マーク・トウェイン協会の機関誌への掲載が決定しており、現在、印刷中である。ジェイムズ・フェニモア・クーパー関連では、リトルペイジ三部作を題材としたニューヨーク文学と国民文学の関連性についての論考を現在準備中である。 コロナ感染症の影響で国際学会(特にキャサリン・マリア・セジウィック学会)での成果発表を実現することは叶わなかったが、これまでの研究成果を単著として出版できるよう少しづつ準備を進めている段階にある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症の影響で国際学会(キャサリン・マリア・セジウィック学会)での発表を諦めざるを得ない状況ではあったものの、ナサニエル・ホーソーンのロマンス論を発表することが出来たことで、ニューヨーク文学がヤングアメリカ運動を経てアメリカン・ルネサンスに接続する、その様相を解明するという本研究課題の最大の目標を達成できたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
先述したクーパーのリトルペイジ三部作に関する論考を完成させることが直近の課題である。その上で、これまでの研究成果を単著として発表できるように準備を進めてゆく。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染症の影響で海外渡航が出来ないことが主な原因である。海外旅費として消化することは依然として現実的ではないが、今後、学会等での成果発表が可能になった場合の国内旅費、図書・資料購入費用、そして論文校正費用などとして使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)