2017 Fiscal Year Research-status Report
Gender and Texts in the Great Awakening
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17K02556
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
増井 志津代 上智大学, 文学部, 教授 (80181642)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大覚醒運動 / ジョナサン・エドワーズ / ジョージ・ホイットフィールド / ピューリタン / ドイツ敬虔派 / 環大西洋 / キリスト教宣教 / レイスとエスニシティ |
Outline of Annual Research Achievements |
6月早稲田大学で開催されたアメリカ学会第51回年次大会部会「環大西洋世界の思想・宗教・歴史」で18世紀宗教に関する報告を行った。ドイツ敬虔派の影響によりアフリカへの宣教に赴いたアフリカ系女性宣教師レベッカ・プロッテンを取り上げ、女性でありアフリカ系であるレベッカが宣教地で白人宣教師より受け入れられ易い働き手となったことについて論じた。 8月29日から9月8日にかけて海外研究協力者との打ち合わせとリサーチの為にハーヴァード大学に赴き、ジョイス・チャプリン歴史学部教授、デヴィッド・ホール神学部教授、ローレンス・ビュエル英文学部教授と面会し、情報交換、研究打ち合わせを行った。チャプリン教授には2018年度研究年期中、歴史学部で受け入れ教授を引き受けていただく。ほぼ毎日ワイドナー図書館でリサーチをし、アメリカ学会年次大会における報告を論文にまとめた。本論文は「18世紀大西洋世界における福音主義文化の醸成」と題し、上智大学アメリカ・カナダ研究所『アメリカ・カナダ研究』(No.35)に掲載した。またアメリカ学会編『アメリカ文化事典』6章「宗教」を森本あんり氏と共編、事典は2018年1月に出版された。 2018年3月2日中央大学人文科学研究所と日本ナサニエル・ホーソーン協会東京支部共催研究会に招かれ「ジョナサン・エドワーズと19世紀アメリカ小説」と題した発表を行った。エドワーズとホイットフィールドを中心とした18世紀第一次大覚醒運動は伝統的ピューリタニズムの再生復興だけでなく、アメリカ福音主義の新たな伝統を作る。大衆の感情に訴える信仰復興のレトリックはアン・ダグラスやジェイン・トンプキンスが注目したように女性作家が盛んに出版した感傷小説と深いつながりをもつ。しかしながら、女性批評家はエドワーズの大衆小説への影響を無視する。こうした盲点がどうして生まれるかについて論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2回の研究発表を行い、関連する研究論文を出版し、本研究は順調に滑り出すことができた。学会報告では西インド諸島における敬虔派の宣教、特に女性宣教師のレベッカ・プロッテンに注目した。また、18世紀のアフリカ系女性詩人、フィリス・ホイートリーに関する英文による論文"Phillis Wheatley as a Transatlantic Poet during the Second Phase of the Transatlantic Slave Trade from 1642 to 1808"をまとめて、アメリカ・カナダ研究所を拠点とする学内共同研究の中間報告書に掲載した。 海外リサーチについては2017年春休み中の3月にニューヨーク公共図書館で開始したメソジスト宣教とアフリカ系アメリカ文学黎明期の研究を継続し、夏季休暇を利用して、本科研によりハーヴァード大学ワイドナー図書館を中心に調査を継続した。 ボストンではD. ホール教授やJ. チャプリン教授と意見交換を行うとともに今後の研究への協力を要請した。さらに、ホール教授の紹介により、本研究における重要な先行研究書である"New England Literary Culture"の著者、L. ビュエル、ハーヴァード大学教授とも面談することができた。チャプリン教授が受け入れ担当となり、2018年~2019年にかけてハーヴァード大学歴史学部研究員として滞在することについても内諾を得た。その後の渡米手続きは順調に進んでいる。勤務先大学より許可された一年間(2018年9月~2019年9月)にわたる研究年季中に研究交流をさらに継続し、本研究課題に集中して取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は3月~7月末まで、国内において夏以降一年間に渡る海外調査のための準備期間に当てたい。8月はボストンに学内共同研究の調査に赴くと共に、共同研究者との打ち合わせを行う。9月から年度末にかけてはハーヴァード大学を拠点とした研究を集中的に行う。主に大学図書館における調査と論文執筆を行うが、米国内の調査旅行も予定している。ニューイングランド、ニューヨーク、さらにペンシルヴァニア州のベツレヘムを訪問する予定である。ベツレヘムには18世紀から続くモラヴィア派の教会があり、ドイツ敬虔派の子孫も居住しているので現地調査を行いたい。また、ハーヴァード大学とボストン大学を中心に研究者間交流を継続したい。 2018年秋から2019年4月~9月中旬まで、日米を行き来しながらハーヴァード大学図書館を拠点とした調査研究を継続する。さらに、会衆派図書館、マサチューセッツ歴史協会、ニューヨーク公共図書館で調査を行う。この間、研究書の出版を目指して論文をまとめると共に、長期に渡り取り組んでいる『ジョナサン・エドワーズ全集』の担当巻の翻訳完成を目指す。エドワーズ関連の研究のために、イエール大学でのリサーチも合わせて行いたい。最終年度には、学会発表、出版の形で研究を公表し、このテーマの研究で獲得した情報や知見を広く伝える努力をしたいと願っている。
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Causes of Carryover |
物品費についてはラップトップ・コンピューターではなくiPadを購入したため、当初の予定よりも低価格の出費となった。2017年度は夏期に実施したアメリカ合衆国ハーヴァード大学での調査のための旅費が主な出費となった。2017年度に生じた余剰金は、2018年度と2019年度に計画している海外における研究と調査のために主に用いる計画である。また、これに伴い発生する経費として人件費や謝金を出費する予定としている。
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Remarks |
上智大学アメリカ・カナダ研究所webサイトにおいて、当該研究者が参加した研究成果の一部が公開されている。
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