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2017 Fiscal Year Research-status Report

カリブ文学におけるエコフェミニズムの可能性

Research Project

Project/Area Number 17K02561
Research InstitutionTsuru University

Principal Investigator

齊藤 みどり  都留文科大学, 文学部, 准教授 (30759858)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsカリブ文学 / エコフェミニズム / ポストコロニアリズム / ポストコロニアル文学 / エコクリティシズム / 比較文学
Outline of Annual Research Achievements

ポストコロニアリズムとエコクリティシズムという文学批評の分野は、これまで別々に発達してきたものだが、近年では互いの視点を取り入れた研究が目指されている。その中でもカリブ文学は、ポストコロニアリズムとエコクリティシズムを結びつけて分析をするのに最適な分野と言われている。というのも、帝国主義と環境問題は、共に最も貧しいものを搾取しているという点で共通しているからであり、カリブ地域の文学は両者の影響を強く受けているからである。本年度の研究では、ポストコロニアリズムとエコクリティシズムについて概説し、カリブ出身の思想家や作家が自然をどう捉えているかについてまとめ、ハイチにおける文学作品がどのように人間と環境の搾取に対峙してきたかについて考察した。
International Conference on Ecocriticism and Environmental Studiesでは、Caribbean Dialogue on Ecocriticism ではカリブ文学と環境批評のつながりについてまとめ、多民族研究学会の「プロットとプランテーション: ハイチ文学にみるポストコロニアリズムとエコクリティシズム」では、カリブのプランテーション経済の中で奴隷が自分たちの野菜を育てることができた小さな庭(プロット)は、植民地主義への抵抗の実践であり、小説というプロットも同様であることを指摘した。その上で、ハイチの文学、特にマリー・ショウブの作品が植民地主義やそれ以降の政治体制を女性であることを踏まえてどのように批判したかを分析した。
都留文科大学の紀要論文である「カリブ文学からみるポストコロニアリズムとエコクリティシズム」には、以上の調査をまとめて報告した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度は、研究の枠組みともなる理論を中心に分析をおこない、環境批評を中心に、 Eduard Glissant, Alejo Carpentier, V.S. Naipaul の著作を読み終える。カリブ文学の文脈での環境批評について調べ、理論的な枠組みを考えるのと同時に、カリブ文学の自然と女性の表象について調べることであった。以上の調査はほぼ予定通りにこなすことができた。国際学会(The 41th Annual Conference of the Society for Caribbean Studies)で成果を発表する予定であったが、代わりにInternational Conference on Ecocriticism and Environmental Studiesに参加して、”Caribbean Dialogue on Ecocriticism” を発表することができた。国内でも、文学・環境学会では日程が合わずに発表は断念したが、多民族研究学会で発表することができた。紀要論文である「カリブ文学からみるポストコロニアリズムとエコクリティシズム」では初年度に計画していた調査の成果をまとめることができた。

Strategy for Future Research Activity

次年度は文学作品の分析を中心に研究を進める。ハイチ文学について調べ、ハイチ出身のマリー・ショウブとエドウィッジ・ダンティカの作品の分析を行う。また女性をめぐる社会的、政治的な背景についても調査をする。上記の作家の作品についてはすでに読み始めており、国際学会(The 41th Annual Conference of the Society for Caribbean Studies)で成果を発表する予定である。また、2週間程度の海外調査を目指している。
最終年度はポーリン・メルヴィルとジャメイカ・キンケイドの作品を読み、自然観とジェンダーを軸に作品分析を行う。最終年度として、カリブ女性作家によるナラティブから、ポストコロニアル批評や環境批評に貢献できる視座を見定め、分析した結果を整理する。今年度と同じように学会でその成果を発表し、論文を提出する。

Causes of Carryover

勤務先の業務などのために、予定していたよりも調査期間が短くなり、予定した旅費は消化できなかった。繰越額は次年度の調査費用と書籍購入費用、学会参加費に当てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] カリブ文学からみるポストコロニアリズムとエコクリティシズム2018

    • Author(s)
      齊藤みどり
    • Journal Title

      都留文科大学研究紀要

      Volume: 87号 Pages: 197-206

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Caribbean Dialogue on Ecocriticism2018

    • Author(s)
      Midori Saito
    • Organizer
      International Conference on Ecocriticism and Environmental Studies
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 「プロットとプランテーション――ハイチ文学にみるポストコロニアリズムとエコクリティシズム」2018

    • Author(s)
      齊藤みどり
    • Organizer
      多民族研究学会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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