2020 Fiscal Year Research-status Report
Politics of Laughter in Contemporary Canadian Minority Fiction
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17K02566
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
戸田 由紀子 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (40367636)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 現代カナダ文学 / マーガレット・アトウッド / 笑いの手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、21 世紀転換期以降のカナダマイノリティ文学における「笑い」の手法とそのポリティクスを明らかにすることである。カナダ文学において従来「笑い」が白人の領域とされてきたことは、カナダの最も面白い文学作品に与えられる文学賞 Stephen Leacock Memorial Medal for Humour の受賞作家がほぼ全員白人作家であることを鑑みると明らかである。しかしビジブル・マイノリティおよびファースト・ネーションズの文学において、「笑い」の手法が用いられてこなかったわけではない。先住民作家 Hayden Taylorも、「笑い」は先住民文化および文学の重要な要素である(Hayden 2005)と指摘している。また、文化的に重要であるだけではなく、マイノリティ文学において、「笑い」は、レイシズムに対する効果的な抵抗の手段として戦略的に用いられてきた。それは白人主流文学には見られない戦略である。当該年度は、白人文学における「笑い」の手法と、非白人文学における「笑い」の手法とを比較考察するために、白人主流作家マーガレット・アトウッドの作品に見られる「笑い」の手法についての考察を行った。アトウッドの短編集『ストーンマトレス』では、レイシズムには触れていないが、ミソジニーとエイジズムに対する抵抗手段として笑いが戦略的に用いられていることを指摘し、「マーガレット・アトウッドの"Wicked Tales" : ミソジニーとエイジズムと『ぞっとするような笑い』」と題して、『椙山女学園大学研究論集』第52号に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年8月に開催される国際学会が中止となり、Zarqa Nawazの作品における笑いの手法の研究成果を発表し、論文としてまとめる作業を2021年度に行うことになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である当該年度は、本研究で予定していた最後の作家Zarqa Nawaの作品における笑いの手法の考察をさらに進め、その成果を学術誌に掲載する。また、これまで行ってきた21世紀転換期以降のマイノリティ文学における笑いの手法とその政治的戦略をまとめる。
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Causes of Carryover |
2020年度に発表を予定していた国際学会がコロナのためキャンセルとなったため。
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