2017 Fiscal Year Research-status Report
現代社会における老い―ジョン・アップダイクと「老い」の表象
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17K02570
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
柏原 和子 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (90330216)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジョン・アップダイク / 老い / Seek My Face / The Widows of Eastwick |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画にしたがって、平成29年度はジョン・アップダイクの晩年の作品における「女性の老い」の研究を行った。まず8月にハーバード大学のホートン・ライブラリーにあるジョン・アップダイクのアーカイブを利用して、作家の「老い」観に関する資料収集を行った。また12月には学内研究費を使用して東京の国立国会図書館にて、主に社会学の分野での日米社会における女性の「老い」に関する資料を収集した。またアメリカにおける最近の「老い」の研究動向を知るために社会学分野での洋書文献を購入して参考にした。 その後、収集した資料を基に、春期休暇中にアップダイクの晩年の2作品Seek My Face(2002)とThe Widows of Eastwick(2009)を取り上げた論文の執筆に取りかかった。これまでの研究でアップダイクの作品では高齢者差別社会においても「老い」を受容する主人公たちが描かれてきたことが判明している。今回の研究では社会における高齢者観の変化とも相まって、女性主人公たちは、Selfを確立し、芸術活動を続けることでproductive agingとも言うべき、良い高齢期を過ごしていることを論証する。 この論文の一部は本年6月にセルビアで開催される第5回ジョン・アップダイク学会の国際会議において口頭発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハーバード大学にて収集してきた資料の整理・分析がまだ途中の段階であることを除いては、概ね順調に計画通り研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず6月1日~5日にセルビアで開催される第5回ジョン・アップダイク学会国際会議にて、現在、執筆中の論文の一部を口頭発表し、世界各国のアップダイク学者と意見交換を行う。その後、国際会議中に得られたコメントやアドバイスを基にさらにアップダイクの「女性の老い」および「老いの性差」についての研究を進め、論文を完成させる。 また本研究後半の課題である作家の「最晩年の老い」についての資料収集を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度の残額は656円であり、ほぼ計画通り、使用できた。
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