2021 Fiscal Year Annual Research Report
Poetry of Lost Loss: a Study of the Modern and Contemporary American Elegiac Poetry
Project/Area Number |
17K02575
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
古村 敏明 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (90632571)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 現代アメリカ詩 / エレジー / 喪失の理論化 / 慰めと共感 / 精神分析アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年10月に本研究課題の集大成である著書、Lost Loss in American Elegiac Poetry: Tracing Inaccessible Grief from Stevens to Post-9/11 が刊行されたことを受け、(1)主著に関する発表活動、(2)関連課題の資料調査、(3)関連課題における学会活動が行われた。本研究課題の主著は、現代アメリカ詩におけるエレジーの変化について考察し、特に、「慰め」が否定または複雑化された現状と向き合う。従来の学説はこの事象を現代的懐疑主義などで説明することが多かったが、本研究では、喪失の事実自体が認知されづらい「失われた喪失」(lost loss) という無意識的喪失感を、新概念として提案する。この研究の目的は、文学的意義としては現代におけるエレジーの変化を解明することであり、社会的要請としてはアメリカにおける9.11、日本における3.11、個人においては親しい人の死など、常に必要とされる追悼のより助けになる形を模索することであった。当該著書について、2021年10月に開催された日本アメリカ文学会年大会において、日本アメリカ文学会賞を受賞したことが発表された。資料調査に関しては、2021年7月末から University of Washington に Visiting Scholar として出向している他、同年10月には、Ohio State University や University of Michigan を訪れた。同年11月には、Pacific Ancient and Modern Language Association の年大会に参加している。
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