2018 Fiscal Year Research-status Report
19世紀アメリカ文学とテクノロジーの交錯にみるサイエンス・フィクションの原風景
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17K02577
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
中村 善雄 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (00361931)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 四次元思想 / 時間 / 空間 / ヘンリー・ジェイムズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、19世紀末に流行した「時間」や「空間」、「超自然現象」を多次元モデルの枠組みで理解しようとした四次元思想の多様性を、その代表的な論者であるルドルフ・シュタイナーやクロード・ブラグトン、P・D・ウスペンスキー、チャールズ・ハワード・ヒントン、エドウィン・A・アボットらの功績を交えて考察した。それと共に、その思想が、文学者たちの知的コミュニティである「ライ・サークル」の面々、つまりヘンリー・ジェイムズやH.G.ウェルズ、ジェゼフ・コンラッド、フォード・マドックス・フォードらに与えた文学的影響について考察した。特に、ウェルズとジェイムズの文学的交友関係と、時間と空間を巡る、ウェルズの『タイム・マシーン』とジェイムズの『過去の感覚』における共振性について検討を重ね、その研究成果は2019年度中に図書所収の論考として発表される予定となっている(現在、校正中)。また、本年は、前年までの科研課題「19世紀アメリカ文学にみる隠喩としてのトランスヒューマニズムに関する学際的研究」の「研究成果報告書」を執筆し、本研究との連続性を確認すると共に、これまでの研究成果を下地に、作業を進めた。それ以外には、彩流社より出版された『繋がりの詩学ー 近代アメリカの知的独立と〈知のコミュニティ〉の形成』にて、「ローウェル、フィールズ、ハウエルズの編集方針──『アトランティック・マンスリー』に見る知的コミュニティの形成」と題した論考を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はヘンリー・ジェイムズの未完小説『過去の感覚』を、世紀末に知識人の間で活発に議論された四次元思想との関係性から考察し、これまで先行研究がほぼ皆無である、ジェイムズ作品におけるサイエンス・フィクション性について執筆し、次年度に図書所収の論考として公開される運びとなっているので、順調な進捗状況にあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらにジェイムズや周縁作家の他作品に関しても、そのサイエンス・フィクション性に焦点を当て、従前サイエンス・フィクション史で語られなかった作品をその歴史の中に回収し、位置づけると共に、当該作品の読みの可能性を広げることを基本な方針とする。同時に、19世紀のテクノロジーがジェイムズを始めとする19世紀アメリカ作家に与えた影響について一冊の図書に纏めることを今後の目標としている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本年度の夏季休暇期間中に予定していたセイラムやボストン(特にハーバード大学)での数週間の調査研究及び文献収集が、依頼された原稿執筆や夏季集中講義のために時間確保ができず、旅費の実支出額が当初見積りを下回ったことに因る。次年度においては、夏季休暇を利用して、今年度実施できなかった海外での調査研究を行う予定にしている。また、その他の支出に関しても、研究計画に即して当該研究に関連した図書並びに研究遂行に必要な物品を購入し、加えて研究成果の公開や意見交換を目的に学会・研究会に参加するために科研費を使用する。
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Research Products
(2 results)