2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K02586
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
大森 晋輔 東京藝術大学, 音楽学部, 准教授 (50599272)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クロソウスキー / ニーチェ / 神の死 / 永遠回帰 / キルケゴール |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の二年目にあたる2018年度は、主に二つの論文を執筆した。 ・「クロソウスキーにおける『神の死』と『永遠回帰』――ニーチェ『悦ばしき知識』仏訳序文(1956)読解」」(東京藝術大学音楽学部紀要44号、2019年3月) ・「クロソウスキーにおけるキルケゴール――1930年代後半の活動から」(大森晋輔編『クロソウスキーの現在(仮題)』水声社、2019年刊行予定) 前者は二年目の研究計画に沿う形で、1950年代のクロソウスキーのニーチェ論においては「神の死」の帰結としての「永遠回帰」がいかに思考され、それが最終的にはどのようにして1969年の『ニーチェと悪循環』に接続しているのかを論じたものである。後者は2018年2月4日に実施したシンポジウムでの口頭発表をもとにした論文で、若き日のクロソウスキーのキルケゴール思想との対峙が、その「神の死」の問題意識に直結していることを示したものである。この論文は自身が編集するシンポジウムの記録に2019年に収録される予定である。いずれも、クロソウスキーにおける「神の死」の射程を考える際に重要な論点を含むものである。このほか、上記のシンポジウム記録に並んで収録する予定のクロソウスキーに関するテクストの翻訳を三点ほど進めた。いずれも本課題の内容に関わりを持つものである。現在、上記のシンポジウム記録の編集を行っており、本書刊行のあかつきには2019年度の本課題の大きな成果となると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していたよりもシンポジウム記録の刊行の準備に時間がかかってはいるが、今年度は論文二点を書き終えており、個人的な研究成果は上がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年8月末までに、大学紀要への投稿として「クロソウスキーにおける神の死と共同体(仮題)」というタイトルで論文を仕上げる予定であるほか、上記のシンポジウム記録に収録予定の翻訳も順次行い、2019年内の刊行を目指して編集作業を進めていく。
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Causes of Carryover |
ほぼ予算通りだが、今年度は海外旅費の支出がなかったため残額が生じている。
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Research Products
(1 results)