2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02588
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
津森 圭一 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (70722908)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 庭園 / 風景 / プルースト / 牧歌 / ラスキン / ナビ派 / 建築 / パリ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2件の国際シンポジウムで、本課題と結びつけた発表を行った。9月に大阪大学で開催されたシンポジウム「プルーストと受容の美学」では、庭園をはじめ、親密な空間を画題にしてきたナビ派の画家たちとプルーストの小説美学との関係について調査した結果を発表した。また、11月に名古屋大学で開催された国際シンポジウム「ラスキンとフランス」では、ラスキンとプルーストの庭園美学についての分析結果を発表した。上記2件のシンポジウムの成果は、それぞれ九州大学フランス語フランス文学研究会『ステラ』および日本フランス語フランス文化会欧文誌『LITTERA』に掲載された。 また、『失われた時を求めて』(吉川一義訳、全14巻、岩波文庫)の総索引編集に携わり(11月刊行)、この作業を通して本研究の考察対象に対する理解を深めることができた。 さらに、プルーストの「庭園美学」を、庭園をめぐる文化史の中に位置づける作業を平行して行い、2019年度までに取り組んだ以下5項目について、庭園芸術の歴史や19世紀から20世紀にかけての景観論との関わりから考察しなおす作業を始め、現在まで続行している。①19世紀から20世紀におけるヴェルサイユ庭園の表象。②フランスにおける英国風景式庭園の受容とその文学における表象。③ルソーの「エリゼ」の庭とジラルダン公爵のエルムノンヴィル庭園の後世における影響。④ラスキンの庭園観とプルースト。⑤庭園を画題にしたナビ派の画家たちとプルーストの関係。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
授業時間数などの勤務先での業務量が前年度より増加したため、研究の進捗が従来の予定よりやや遅れたものの、種々の理由で研究が大幅に遅延した2018年度に比較すると、改善していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を進捗させるうえで必要な文献を、海外から早急に入手したうえで、以下のテーマについて考察を進め、論文を執筆する。①中世修道院の瞑想の場としての庭園と、プルーストの読書論の関連。②古代ギリシャ・ローマにおける庭園表象の源泉たる「牧歌」の伝統がプルースト、ジッドなど20世紀前半のフランス文学にいかに受け継がれているかという問題。③近代パリの公園政策や都市景観をプルーストがいかに小説に取り入れたかという問題。以上、①から③までの分析結果を、「研究業績の概要」で挙げた5つの項目とともに著書としてまとめる。
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Causes of Carryover |
校務のため、2020年2~3月に予定していた文献調査や資料収集を目的としたフランスへの渡航を取りやめたため、次年度使用額が生じた。この額は、2020年度中に、国内外の研究書、文献資料、図像資料の発注、あるいは、パソコンなど研究に必要な機材やインクカートリッジなど消耗品の購入費用に充てる。
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Research Products
(7 results)