2018 Fiscal Year Research-status Report
19世紀後半パリにおける出版物とシャンソンとの影響関係
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17K02589
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉田 正明 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (20191611)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シャンソン / シャンソニエ / ジャーナリズム / 文芸キャバレー / カフェ・コンセール |
Outline of Annual Research Achievements |
一次資料調査研究のため,2018年10月6日(土)から10月15日(月)までパリに調査旅行に行き,フランス国立図書館,アルスナル図書館,パリ市歴史博物館,モンマルトル美術館等で文献・資料調査収集を行った。そしてこれまでの研究成果をまとめ,シャンソン研究会のメンバーとの研究打合せを兼ねて5月12日(土)大阪大学言語文化研究科において第31回シャンソン研究会を開催した。また,信州大学が学術交流協定を締結しているリール大学からジョルジュ・サンドを中心とする女流作家研究の第一人者マルチーヌ・リード教授を招聘し,「19世紀における文学と民衆文化-フランスを中心として-」と題する国際シンポジウムを主催し,「19世紀フランス詩における民衆歌の影響」という題でフランス語による口頭発表を行うとともに,シンポジウム報告論文集を人文学部のHPにアップし,その研究成果を公表した。さらには,パリでの資料調査で発見し得られた知見を基に,12月8日(土)信州大学人文学部において第32回シャンソン研究会を開催し,19世紀後半パリにおいて,ジャーナリズムにも深く関わったシャンソニエのジュール・ジュイJules Jouyについて科研調査報告を行った。そしてその研究成果をシャンソン研究会発行の研究誌『シャンソン・フランセーズ研究』第10号に発表した。ジュール・ジュイに関しては,19世紀後半パリにおいて絶大な人気を博したシャンソニエにも関わらず,今日では日本はもとより本国フランスにおいても忘れ去られており,本研究を通して彼の実相を紹介するとともに,その功績と真価を再評価することができたことは大きな成果であると言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行する上で必要な文献調査及び資料収集は順調に進んでおり,日本では入手困難な一次資料調査もパリで実施することができた。収集した文献・資料の整理も進んでおり,これまでの研究成果の発表も,年2回実施したシャンソン研究会(2018年5月12日(土),於大阪大学言語文化研究科;同年12月8日(土),於信州大学人文学部)において,研究会のメンバーとの研究打合せとともに行うことができた。 また,信州大学が学術交流協定を結んでいるリール大学からジョルジュ・サンドを中心とする19世紀フランス文学研究の第一人者であるマルチーヌ・リード教授をお招きして,「19世紀における文学と民衆文化-フランスを中心として-」と題する国際シンポジウムを信州大学人文学部において開催し(2018年12月2日(日),科研の成果の一部として「19世紀フランス詩への民衆歌の影響」という発表をフランス語で行い,シンポジウム報告論文集を人文学部のHPにアップして公開した。 本科研においては,これまでの科研の実績を踏まえ,新たな視座から19世紀後半パリにおけるシャンソンと出版物との影響関係を探っているところであるが,平成30年度はシャンソニエのジュール・ジュイにスポットを当てて彼の再評価を試みた。19世紀後半パリにおいて彼の真骨頂である政治的・社会的シャンソンの他,様々なジャンルのシャンソンを書き残しシャンソニエとして活躍したのみならず,文芸キャバレー「シャ・ノワール」発行のキャバレー新聞他,当時の様々な定期刊行物に自作のシャンソンや時評等を数多く寄稿したジュイの功績を明らかにすることができた。その研究成果をシャンソン研究会発行の研究誌『シャンソン・フランセーズ研究』第10号に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集した文献・資料を整理し精査するとともに,引き続きジャーナリズムとシャンソンに深く関わったシャンソニエを新たに取り上げ調査研究するために,新しい関連資料の発掘・収集をパリを中心に実施していく。 新たに入手した文献・資料の分析を進め,そこから得られた知見をまとめた研究成果を,2019年5月11日(土)に神戸大学において開催する第33回シャンソン研究会と,秋に信州大学人文学部で実施予定の第34回シャンソン研究会において報告し,研究誌に発表する予定である。 また,2019年10月12日(土)から10月19日(土)まで,信州大学が学術交流協定を結んでいるリール大学において,科研の成果に基づく交換授業と講演会を招待教授として行う予定である。その際,リール大学の19世紀フランス文学研究者たち(ジョルジュ・サンド研究の第一人者マルチーヌ・リード教授,フランス詩・詩法・韻律法の専門家バーバラ・ボアック教授,シャンソン研究者ジェローム・ヘヌベール教授等)と研究打合せを行うとともに,今後の国際共同研究の可能性についても話し合う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初計画で購入を予定していた文献が入手できなかったため,次年度使用額が生じた。 (使用計画) 平成31年度請求額と合わせて,計画的に使用していく。具体的には,現在使用しているパソコンが古くなっているため,新しいパソコンを購入するとともに,パリへの調査旅行の費用及び未取得の文献・資料の購入費に充てていく。
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Research Products
(3 results)