2019 Fiscal Year Research-status Report
19世紀後半パリにおける出版物とシャンソンとの影響関係
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17K02589
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉田 正明 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (20191611)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シャンソン / キャバレー / 出版物 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究遂行のため,2019年9月10日から9月21日までパリの国立図書館,歴史資料館,モンマルトル美術館等で資料調査を行うとともに,必要な文献・資料を収集した。主に日本では入手困難な19世紀後半パリにおいて出版されたキャバレー新聞の調査を行った。特にアリスチッド・ブリュアンが「シャ・ノワール」の跡地(モンマルトルのロシュシュアール通り84番地)に自ら開いた「ミルリトン」で発行した同名のキャバレー新聞や『トロンビノスコープ』等当時の貴重な資料の調査を行った。 予定通り,2019年5月11日に神戸大学国際文化学研究科において(約50名参加),また11月30日に信州大学人文学部において(約30名参加)シャンソン研究会を開催するとともに,研究会会員に研究成果を報告し,研究打合せを行った。 また,信州大学が学術交流協定を結んでいるフランスのリール大学のマルチーヌ・リード教授の推薦により,2019年10月13日から10月20日までリール大学に講演者として招聘され,シャンソン研究者であるバルバラ・ボアック教授の大学院ゼミにおいて科研の研究成果の発表を行うとともに,人文学部の図書館において大勢の教職員や学生や院生を前に(約100名)講演と質疑応答を行った。ボアック教授とは今後もシャンソン研究で連携していくことを確認した。フランスのシャンソン研究者との連携が深まったことは,今後の本研究課題を推進していく上でも貴重である。 そして,昨年(2018年12月2日)信州大学人文学部において開催した国際シンポジウムでの研究発表を基にした論文と,これまでの研究成果をまとめた論文の2本の論文を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去3年間概ね順調に進展している理由は以下の通りである。 1)これまで毎年パリでの現地調査により,日本では入手困難な文献・資料を調査収集することができ,研究に必要な資料を多く入手することができた。 2)毎年2回(春は関西の大学,秋は信州大学)シャンソン研究会を開き,研究の進捗状況を定期的に報告し,研究会メンバーと研究打合せを重ねてきた。研究成果は毎年当研究会発行の『シャンソン・フランセーズ研究』に発表し,国立国会図書館に納本するとともに,信州大学図書館機関リポジトリを通して,広く公開している。これら機関リポジトリに公開している論文は,定期的に閲覧,ダウンロードされており,研究成果の社会還元にも一定の寄与をしている。 3)2018年12月に信州大学人文学部において国際シンポジウムを開催し,「19世紀フランスにおける民衆文化と文学との関わり」というテーマを掲げ,19世紀におけるシャンソンと文学との関係について研究発表し,それを報告集の一部としてネット上にアップして広く公開した。 4)信州大学が学術交流協定を結んでいるフランスのリール大学から講演者として招聘され(2019年10月),シャンソン研究者のバルバラ・ボアック教授の大学院セミナーでフランス人の院生に研究成果を講義するとともに,図書館において講演を行った。このリール大学への招聘は,先方のマルチーヌ・リード教授が当方の科研研究課題に興味を持ったためであり,リード教授の推薦によりリール大学の評議会が承認し招聘されたものであり,文系でははじめての招聘者となった次第である。フランスのシャンソン研究者と連携を深めることができたことも成果の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年にあたるので,これまでの研究成果をまとめていく作業に取り掛かる。新型コロナウイルス問題で予定通り行かないこともあろうかと思うが,状況に応じてできる範囲内で研究成果をまとめ公表していく。 1)できれば,今年度中にもう一度パリに行き,未収集の文献・資料を調査・収集することを考えている。新型コロナウイルス問題次第である。 2)春に予定していた(5月16日,於神戸大学国際文化学研究科)シャンソン研究会はやむなく中止にせざるをえないが,新型コロナウイルス問題が収束すれば,秋には研究会を開催し,研究成果を発表したい。 3)未収集の文献・資料を書店(フランス図書等)を通して購入し,これまでに入手した文献・資料と合わせて論文作成に役立てていく。
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Causes of Carryover |
発注していた文献資料のうち絶版で入手できなかったものがあり次年度に繰り越すこととなった。次年度使用額は令和2年度請求額と合わせて旅費と文献資料購入費等物品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)