2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study of early translational works of Mori Ogai in the perspective of acceptance of other cultures and cultural transformation
Project/Area Number |
17K02592
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中 直一 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (50143326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 森鴎外 / 比較文学 / 翻訳 / ヨーロッパ文學 / 異文化理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる本年度は、前年度に引き続き、森鴎外の初期の翻訳作品の翻訳底本を探し、鴎外の訳文と原文を対照する研究を進めた。また翻訳の初出誌の収集も行い、とりわけ雑誌『少年園』で発表された翻訳「新世界の浦島」及び「戰僧」の二作品の分析を行った。その結果、初出では、少年読者向けにルビを多用していたものが、『水沫集』や鴎外全集においてはかなり削除されていること、また「新世界の浦島」の初出で翻訳されていた部分が、『水沫集』以降で脱落しているケースが見られる等、初出誌と翻訳底本を対比することによる新発見があった。 資料収集の面では、東京大学総合図書館鴎外文庫より、鴎外旧蔵のドイツ語書籍の複写を取り寄せ、研究の基礎資料を得た。今年度入手した主なものは、Daudet, Der Feldprediger(鴎外訳「戦僧」の翻訳底本)、Hacklaender, Zwei Naechte(ふた夜)、Lessing, Emilia Galotti(折薔薇)、Schaefer, Der Vater(父)、Schubin, Die Geschichte eines Genies(埋木)、Stern, Die Flut des Lebens(うきよの波)等である。また鴎外文庫から入手出来なかったドイツ語原文については、他機関で所蔵する原書で、鴎外が使用した版本と同一の版本(複写)の入手をはかった。それらは、Andersen, Der Improvisator (即興詩人)、Goethe, Faust(フアウスト)、Rilke, Greise(老人)等である。 実地調査の面では、文京区立森鴎外記念館に二回調査出張をなし、同館に展示される諸資料を調査した。東京医学校への入学以前に鴎外が学んだドイツ語等のカリキュラム表(時間割)を閲覧し、少年時代より鴎外がドイツ語学習に取り組んでいた実態を改めて確認した。
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Research Products
(1 results)