2018 Fiscal Year Research-status Report
移民・郊外・記憶-女性作家から考察するフランス語マグレブ文学
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17K02597
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
石川 清子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (30329528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マグレブ / アルジェリア / レイラ・セバール / ヤミナ・ベンギギ / 翻訳 / 移民の音楽 / アルジェリア戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
レイラ・セバールとヤミナ・ベンギギ二人の作家を中心に、マグレブ出自女性作家・アーチストの〈移民〉や〈記憶〉の表象について深化することができた。 セバールについては、翻訳予定作品『ファティマ、辻公園のアルジェリア女たち』の下書き作業に着手できた。また、2019年2月、民博のシンポジウムで当該作品について発表する機会を得て、参加研究者と情報交換ができた。フランス/アルジェリア双方の歴史・記憶に関わるセバール作品のより詳細な分析を学会等で発表予定である。 ベンギギについては、テキスト『移民の記憶』翻訳の作業が進み、2019年中に刊行される。また、2018年5月、日本比較文学会中部支部のシンポジウムと、2018年6月、現代中東文学研究会「ワタン(祖国)」シンポジウムで、ベンギギ映画で重要な役割を担うマグレブの音楽を60年代以降、パリ中心にフランスのアルジェリア移民が聴く歌謡曲を主題に、それぞれ発表した。マグレブ移民、とりわけ可視化されにくい移民女性の音楽的記憶を強調し、フランス戦後の移民マグレブ女性の記憶と主体の構築について考察する機会にもなった。後者のシンポジウム発表原稿を元に、論文を執筆。在仏マグレブ移民と音楽のテーマは、移民、マグレブ/フランス関係で社会学、歴史学の見地からさらに検討すべきと実感した。このテーマの研究は2000年以降、フランスで本格化してきた。2019年春には国立移民博物館(パリ)の展示「パリ/ロンドン音楽のミグレーション」を見ることができた。 2015年の口頭発表を発展させたアシア・ジェバール『愛、ファンタジア』の翻訳についての論考を翻訳論集(共著)として刊行した。これについてはアルジェリアでのシンポジウムが待たれる。 2019年3月にパリで資料調査、現地調査を行なった。調査の過程で、フランス出版界がアルジェリア戦争とどう向き合ったかという新たなテーマを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主に翻訳刊行のための作業、複数の口頭発表、論文執筆、研究書の刊行準備等、研究活動の実質的内容は当初の計画どおり順調に進んでおり、遅れはない。 但し、国際シンポジウムの開催が延期されたため、当初予定した研究活動ができていない。上述したアシア・ジェバール翻訳論集刊行を記念して、2018年秋にアルジェリアで国際シンポジウムが開催される予定で、参加すべく準備を進めていた。主催者の事情で開催が延期され、その後2019年に入り、アルジェリアの大統領選を前に国内の事情が緊迫している状況である。シンポジウムは2019年秋には開催の予定。2019年春はアルジェリアが真の民主化をめざして、歴史的に大きく動いた時であり、事態は現在進行形である。今後の動向を見守りつつ、アルジェリアの生んだ女性作家、アシア・ジェバールについての国内外での紹介に努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たり、本課題の総括を意識しつつ前年度までの研究を発展的に続行する。 具体的には、1)翻訳書の刊行とその準備:ベンギギ『移民の記憶』を刊行し、セバール『ファティマ、辻公園のアルジェリア女たち』の翻訳下書きを完成させる。2)アルジェリア現代文学の国内での紹介:当該文学の学会等でのワークショップを行なう予定である。3)国外での学会発表:上述したアルジェリア、もしくはパリでのジェバール関連シンポジウムに参加する。国外の研究者と情報交換ができ、研鑽のよい機会である。4)論集刊行の準備:マグレブ仏語文学についてこれまで書いてきた論考をもとに専門書としてまとめるべく準備を進める。5)国外図書館での資料収集と現地調査:パリでの複数図書館でアルジェリア戦争以降のアルジェリア/フランス関係の資料を確認するのが主目的だが、フランスにおけるマグレブ移民の表象を研究対象としているため、関連する地域に実際に足を運ぶ必要がある。
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Causes of Carryover |
2018年11月にアルジェで開催予定であった国際シンポジウムが延期になった。当該シンポジウムへの参加は当初からの研究計画に入れたものである。2019年秋開催を目処に開催を準備していると主催者からの連絡があった。シンポジウム参加のアルジェ行き旅費分を次年度使用に当てたい。
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Research Products
(8 results)