2021 Fiscal Year Research-status Report
移民・郊外・記憶-女性作家から考察するフランス語マグレブ文学
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17K02597
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
石川 清子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 名誉教授 (30329528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マグレブ / アシア・ジェバール / レイラ・セバール / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間延長の年度で、パンデミックの影響下で国内外共に移動が難しいという前提で本研究を進めた。自分が関わる研究会はオンラインが常態化し、この方式を活用して充実した会を継続できた。しかし、意見交換を深化させ、考察を発展させるにはやはり対面式にできればよい。海外図書館等での資料調査はできなかったが(ウェブでの複写請求は大いに利用した)、オンラインでのシンポジウム等の視聴が可能なものはこれを活用し、現在進行中の知見を得ることができた。具体的には、アルジェリア戦争と植民地支配について改めて議論される時期にあたり、バンジャマン・ストラら歴史研究を中心に行われたシンポジウムや講演のウェブ配信が有益だった。 行った研究内容としては以下のとおり。 ・研究発表:アシア・ジェバールを中心とした、現代マグレブ仏語女性作家の考察と紹介(日仏女性研究学会国内研究会オンライン)。同じテーマの研究者の発表や参加者からの多くの質問から大いに学んだ。 ・部分翻訳:ジェバールの第一小説『渇き』(1957年)の抄訳と解説(中東現代文学研究会『中東現代文学選 2020』所収) ・翻訳の原稿提出:レイラ・セバール『ファティマ、辻公園のアルジェリア女たち』(1981年)の翻訳原稿を完成させた。2022年中に刊行したい。作業中、著者本人と連絡が取れ、コメント、情報を頻繁に頂くことができたのは貴重だった。 ・研究書の準備:近いうちの刊行を目指して単著をまとめる作業にかかった。作業中、フランス語マグレブ文学全体を概観し、検討し直すことができた。この作業は継続して行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響で、国内外の移動が不自由になり、研究方法を変更する必要があったが、これはどの研究者にも当てはまることである。海外の図書館で資料を多量に点検したい時が何度かあり、現在もその必要を感じているが、ウェブを含め国内で入手できるものを利用しチェックした。今年度は進行中の翻訳に目処をつけ、研究書を準備することに時間を割いた。本研究が長期に渡ったため、研究書準備に当たって、これまでの社会状況の変化を反映させる必要がある。特にこの10年間のフランスやマグレブを含めた世界情勢の変化はすさまじい。自分が対象とする作家についての研究動向と合わせて、世界状況の現状を論考類に反映させる作業に多く時間を割いた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間延長を認めて頂いたため安心して取り組めたが、期間的に若干長すぎる研究となっている。対面式のシンポジウム開催など、国外移動が必要なものは計画から除外する方向で考える。区切りをつけることは次の段階へ行くためにも必要なことなので、次年度は総括として、これまでの研究が書籍などの具体的なかたちとなるようにしたい。
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Causes of Carryover |
パンデミックの影響で国内外の移動が自由にならず、計画していた対面での研究会やシンポジウムが開催できなかった。よって旅費に予定していた予算を執行できなかった。今後もこの影響は続くと思われるが、状況が改善する場合は予定していた旅費を執行する。全般的には書籍等の資料収集に重点を置き、会議などはオンライン方式を利用しつつ本研究総括に向けて進めていく。
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Research Products
(3 results)