2022 Fiscal Year Annual Research Report
Immigration, Suburbia, Memory - The Maghrebian literature in French examined through women writers
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17K02597
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
石川 清子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 名誉教授 (30329528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マグレブ / フランス / 植民地 / 女性 / 移民 / アルジェリア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度が本課題の最終年となる。パンデミックの影響でまだまだ制約はあったが、総括の段階として次の活動に専念した。 1)単著刊行までの諸準備。本課題のみに限らず、これまで取り組んできたフランス語マグレブ文学(とりわけアルジェリア文学、さらに現代女性作家)に関する研究を書籍のかたちでまとめた。原稿は前年に完成していたので、複数回の校正を経てブラッシュアップに集中した。この過程で様々な新しい方向性も見つかった。例えば、戦後からアルジェリア独立時ごろまでのフランス国内における出版事情、特にフランスの植民地だった地域からの文学活動にいかなる関心を寄せ関わったか、アルジェリア戦争(1954ー1962)に対してフランス文化人・作家はいかなる視線を寄せ、それに関わったかなど、フランスにおける出版・編集事情について調査の必要を感じた。特に出版・編集人として、フランソワ・マスペロ、モーリス・ナドー、ジェローム・ランドンなど。 2)所属する研究会の会員発表(フランス第四共和政時のアルジェリア女子教育について)に対するコメントを述べる機会に、仏支配下におけるアルジェリアの現地民教育について総体的に調査した。教育という大きな括りで現地民と在住フランス人、男子と女子などでの大きな違いがあること、同じマグレブでもモロッコ、チュニジアとも異なるフランス語教育であったことなど重要かつ興味深い点が浮上した。フランス人女性が予想以上に植民地における教育に関わっていることも興味深い(例えば、インドシナにおけるマルグリット・デュラスの母とも通底する)。 今年度の主要な研究活動は以上の二点に集中するが、本課題とは別途行なっているフランス女性文学史翻訳の下調べで得られる情報が、フランス語圏文学の視点からみて大変貴重なものだった。また、1)2)に伴う資料(書籍や文献複写)を多数収集し、参考資料の基底を充実させた。
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