2019 Fiscal Year Research-status Report
ジョルジュ・バタイユの芸術思想と新たな展開-脱近代への提言
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17K02605
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
酒井 健 法政大学, 文学部, 教授 (70205706)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バタイユ / フランス現代思想 / 芸術論 / アルテラシオン |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度開始の本研究は、当初の予定では、2019年度に終了する予定であったが、2019年度秋よりフランスにおいて公共機関のストライキが発生し、その影響が大学や図書館などに及んだため、さらに2020年1月から新型コロナ・ウイルスの伝染が激化したため、当初予定していたフランスでの研究が阻まれた。そのため一年間の研究延長を申請し、了承された。 それでも2019年度においては国内において可能なかぎり研究を進捗させた。 まず、2019年5月10日に青土社より単著で『バタイユと芸術 ー アルテラシオンの思想』を上梓し、2年間におよぶ当該研究の成果を世に問うことができた。この研究書は、バタイユをはじめ、20世紀の芸術思想のあり方をその背景に立ち返って考察し、また21世紀の問題へつなげる試みであり、当該研究の成果をおおいに反映させている。それとともに、さらなる研究の視界もこの書とともに開け、今年度はその新たな視界のなかで考察を進めた。 この新たな視界とはバタイユをはじめとするフランス現代思想の芸術論を古代ローマ、中世ヨーロッパに遡って、その淵源と連続性を検討するという歴史的な視界である。さらにそこに宗教の問題領域も接続させて、視界を拡大させた。具体的に言えば、古代ローマにおけるキリスト教の発生と中世西欧におけるキリスト教の新たな展開がフランス現代思想の芸術思想とどのように関連しているのか、そのつながりを考察するという内容である。その研究成果としては法政大学言語・文化センター発行の紀要『言語と文化』第17号(2020年1月発行)に単著論文「ジョルジュ・バタイユとコミュニオン概念の射程」を発表したこと、および2020年1月11日に明治大学教養デザイン研究科において公開講義「中世ロマネスク美術と異文化理解」を実施したことがあげられる。当該研究の意義ある実績である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度後半に予定していた渡仏しての研究の実施が、2019年10月からのフランスの公共機関のストライキのために、さらに大学や図書館などにストライキが波及したために、さらにまた新型コロナウイルス の伝染が2020年1月より激化したために、困難になったことが理由である。フランスの研究者との意見交換やシンポジウムへの参加、国立図書館での資料収集が不可能になり、研究はその分遅れをみた。しかし日本国内での研究は進捗させたので、自己評価としては「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に遅れを見たのはフランスにおける研究であり、なによりもフランス国内の社会情勢の安定化が第1の要件である。しかし新型コロナウイルスの伝染は2020年4月以降もおさまりを見せず、渡仏は困難な状況にある。そのためフランスの研究者とネット上での議論や電子メールのやり取りにより、当面、研究の進展を図る。またフランスの国立図書館からの資料の取り寄せを様々なルートを通して果たして、研究を進捗させていく。渡仏が可能になれば、迅速にフランスの研究者との交流を実現していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していたフランスにおける研究がフランスの国内事情により不可能になったのが理由である。すなわち2019年度秋よりフランスの公共機関のストライキが激しくなり、その影響は大学や図書館など公教育機関にもおよんだ。さらに2020年1月より新型コロナウイルスの伝染が激化したため、渡仏が困難になったことが具体的な理由である。フランス国内の情勢が安定し、フランス人研究者との交流、シンポジウムの開催が可能になれば、このために研究費を使用する。もしもそれを許さない社会情勢が続くのならば、ネットを通してのフランス人研究者との交流、オンライン・シンポジウム参加、フランス国立図書館からの資料の取り寄せ、フランスの出版社からの図書の購入に研究費を使用したい。
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