2023 Fiscal Year Annual Research Report
Brightness and Colour: Studies on their Interconnection and Representations in the Literature of Antiquity
Project/Area Number |
17K02608
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西塔 由貴子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい教員 (60411948)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 光・輝き / ホメロス / aiolos / イメージ / 感性 / 認識 / 創造性 / 景観 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍巻き返しの最終年度、西洋古典における光・輝きについてこれまでの研究成果を総括すべく、研究発表、論文・著書執筆に従事し、一定の有益な知的貢献をすることができたと考える。 aiolos を中心とした分析の成果を、要旨が受理された国際学会 (The ACE & CREATIVITY Conference, Liverpool) で研究発表(10月オンライン)。光と陰影とのシームレスな連関性も重要事項として捉え、修飾している対象の「動き」にも着目しつつ、「輝いている」ということについて文学的視点を投げかけた。光・輝きに関連する用語が複合語も含め膨大にあり、他の関連用語の分析考察が必須であることを今後の課題とした。 「緑の蜂蜜」という表現に焦点をあてた論文が『フィロカリア』に掲載された。chloros(緑か黄緑か深緑か?)と蜂蜜を意味する meli の関連性を追求してみれば、新鮮な、瑞々しさを意味する chloros にも輝きの意味が実は内在することもわかり、宗教的な儀式に使用された meli とともに、神聖な事象とのつながりの可能性を提示することができた。aiolos と sigaloeis に特化して論じた2つの論文を、2つの国際誌に提出、現在編集中である。 外国人招聘講演会「キクラデス諸島の輝き」を2024年1月に実施することができた。 次年度6月の国際学会(Graz)に招待され戦闘における輝きについて発表予定。オリュンポスの輝く景観に関する要旨は8月末の国際学会(Rome)に受理された。 「輝き/光」には一般的に明るいイメージがあるが、実は神的なものの背後にある光輝き、畏れ多いその明暗の二重性をも包含する、その多彩な多重性について独自の見解を示すべく、年度内にまとめきれなかった用語(aglaos, auge 等)も組み入れて、現在鋭意執筆中である。
|