2019 Fiscal Year Research-status Report
Re-evaluation of Biblical Philanthropical Principles: A Study of Metaphor-Mix to Overcome Violence behind the Ultimate Love-Command
| Project/Area Number |
17K02609
|
|---|
| Research Institution | Kwansei Gakuin University |
|---|
Principal Investigator |
浅野 淳博 関西学院大学, 神学部, 教授 (20409139)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
| Keywords | 殉教思想 / 使徒教父 / マカバイ諸書 / パウロ書簡 / 贖罪論 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、とくに殉教思想に焦点を置いて研究を進め、2つの学会発表を行った。1つは7月にローマで開催されたSBL国際学会であり、ここではユダヤ教の殉教思想を社会記憶という視点で評価し、それが1-2世紀の初期教会にどのような影響を与えたかについて論じた（発表題：Constructing Social Memories of Resistance: On the Martyrological Tradition in the Apostolic Fathers）。この学会開催中にローマにあるユダヤ人カタコンベを訪問し、本研究のもっとも重要な文献である使徒パウロのローマ書が書かれた背景について考察する機会を得た。これに関しては、2020年度にボストンで開催される予定のSBL定例学会で発表することが決定されている。
もう1つは9月に東京で開催された日本新約学会例会での発表であり、ここでは2世紀のキリスト教殉教思想に影響を与えた使徒教父のイグナティウスの殉教思想について研究発表を行った（発表題：使徒教父文書の〈殉教〉思想：影響家庭に関する一考察――イグナティオス書簡群におけるantipsychonの用法を中心に）。この研究発表は2020年7月発刊の学会誌に掲載されることになっている。これら2つの発表内容を1つに融合してより詳細な殉教思想の影響史に関する論文を2020年度には欧文学会誌に寄稿する予定である。
これらの個別の贖罪論に関する研究を進めるとともに、より包括的なパウロ神学の研究も同時進行させている。その研究の成果として、以下の共著が発刊された。J.B. Tucker & A. Kuecher (eds.), T&T Clark Social Identity Commentary on the New Testament (T&T Clark, 2020).
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年3月にはパウロがローマ書を執筆したコリント／ケンクレアを訪問して調査を実施する予定であったが、COVID-19へのギリシャ政府の対処によってコリント／ケンクレアの訪問が3/15の段階で不可能となった。これは本研究のもっとも主要な文献の執筆背景を知る上で重要な調査であり、是非とも本研究期間に実施したいと願っている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、上で挙げた3つの研究発表（その内の1つは2020年11月）をもとにした研究論文の内、未刊行の2本を刊行すべく整えることを行うとともに、殉教思想とも関連し、イエスの受難のモデルとなったと考えられる第2イザヤの「受難の僕（しもべ）」の研究を進める予定である。さらに上で述べたとおり、コリント訪問を実施して、それを含めて最終的な研究の成果物を完成したいと考えている。大学での行事やCOVID-19の状況に鑑みると、コリント訪問は2021年3月頃に実施せざるを得ず、したがって研究期間を一年延長することを視野に今後の研究を進めるつもりである。
|
| Causes of Carryover |
2020年3月に予定したコリント／ケンクレア訪問がCOVID-19に対するギリシャ政府の対処によって直前になり不可能だと判明したために、それにかかる交通費、宿泊費、研究費、その他支出が不要となり未使用額が生じた。2021年3月に再度同地の訪問を予定しており、そのための費用として2019年度の未使用額の部分を使用することを予定している。
|
Research Products
(4 results)
