2017 Fiscal Year Research-status Report
ソヴィエト後のロシア・ポストモダニズム文学における身体イメージの変容
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17K02623
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
岩本 和久 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (40289715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越野 剛 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (90513242)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外国文学(中・英・仏・独除く) / 美術史 / ロシア / ポストモダニズム / 身体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はソ連後期から2010年代にかけてのロシアのポストモダニズム文学・美術の分析を通して、そこに見られる身体的表象の意味や役割、それらの時代を追った変化を考察し、現代ロシア文化の一端を明らかにしようとするものである。2017年度は1990年代のロシア・ポストモダニズム文学について、ロシアの非公式文化やポストモダニズム文学に強い影響を及ぼしたロシアの現代アートを参照しながら分析した。 具体的な活動や成果としては、(1)1990年代のロシア・ポストモダニズム文学を代表するソローキンやペレ―ヴィンの最新作について、『ブリタニカ国際年鑑』に論文を執筆した(2018年に刊行予定)。(2)ロシア・アートについてロンドンで調査を行い、1990年代から現代にかけての展開を具体的に明らかにした。特にオレグ・パヴロフやピョートル・パヴレンスキーの身体パフォーマンス、カバコフやプリゴフらモスクワ・コンセプチュアリズムにおける身体の抽象性などについて分析を行った。(3)ロシアのアート集団AES+Fの作品に見られる革命の主題について、京都大学における研究会で報告を行った。(4)ロシアのSF研究者のミハイル・スースロフ氏とや梅村博昭氏と北海道大学や京都大学で研究会の開催や意見交換を行い、現代ロシアにおける幻想文学のイデオロギー性や受容の在り方を明らかにした。(5)現代ロシアの保守派文学を研究しているナターリヤ・コフトゥン氏と日本ロシア文学会全国大会において情報交換を行った。(6)ポストモダニズム文学がその源泉としているソヴィエトの社会主義文学についても、その作者と主人公の関係について分析を行い、雑誌『アリーナ』に論文を発表した。(7)分担者の越野は戦争表象と身体の関係について、研究・報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度については計画を順調に遂行し、その主な成果を2018年度に発表する予定となっている。また、現代ロシア文学を研究しているロシアの研究者と交流を行うなど、2018年度以降の研究の準備にも着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、2000年度以降のロシア現代文学の展開を、ポストモダニズムの作家を中心に分析することを予定している。その成果をもとに、2019年度にパネル・ディスカッションを組織する。
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Causes of Carryover |
年度末に必要になった洋書があり、到着が年度末に間に合わないため、発注を次年度に繰り越した。
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