2021 Fiscal Year Annual Research Report
Emergence of Modern Russian Literature--Country Estate in History of Russian Literature
Project/Area Number |
17K02625
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
坂内 徳明 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (00126369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥山 祐介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40466694)
金澤 美知子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (60143343)
佐藤 千登勢 法政大学, 国際文化学部, 教授 (90298109)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウサーヂバ / 近代ロシア文学の形成 / 新興貴族 / 地主・領主 / 家族としての貴族 / 庭園 / 貴族の巣 / 土地経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はコロナ禍による一年延長も含め2017年度から2021年度までの5年間に及んだが、この間に数度の現地ロシアの旧貴族屋敷調査を行い、2冊の成果報告書を刊行した。 本研究に携わったスタッフの役割分担は、代表者の坂内徳明が全体の進行をリードしたことは当然だが、腐心したのは、対象が膨大な領域に関連するために論点をどこに、いかに限定するのかという問題であり、選択した論点の意味を全体の中で問い直す作業である。その関連から、代表者は、特に本国ロシアにおける革命前・革命後ソビエト期、さらに1991年以後も含め現在までのウサーヂバ研究史の把握と問題設定に着目し、この面から課題群の整理に重点を置いた。 分担者の金沢美知子、鳥山裕介は18世紀文学の作品テキストの読解を通じてウサーヂバ表象の分析を行った。両名中の前者によるN.カラムジン研究、感傷主義文学史に関する考察、初期ドストエフスキイ作品における「村」への注目、また、後者による18世紀後半・末の文学者G.デルジャーヴィン、V.カプニストの紹介と作品分析はいずれも、日本では未開拓の領域を切り拓くものとして重要である。両者の仕事は本研究が目ざしたウサーヂバ文学史・表象史を構想するために大きな布石となると考えられる。 同じく分担者の佐藤千登勢は、文学(『貴族の巣』)の映画作品の画像分析を通して、ウサーヂバへの記憶と表象について考える貴重な視点を提供した。 先述した二冊の報告書は、これらの研究成果を論文として収録する。付記すれば、この二冊を含め代表者のウサーヂバ研究は先行する科研を含めれば10年間に及び、分担者に加えて協力者の論文も併せて全四巻の論文集としてまとめられたことになる(目次は2021年度に刊行された報告書に掲載)。ウサーヂバと近代ロシア文学(特に、18世紀末~20世紀初頭を中心としたロシア近代)の深い関係性は広く認められたと考える。
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Research Products
(7 results)