2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02635
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田島 花野 東北大学, 文学研究科, 助教 (70757997)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 圭介 富山大学, 人文学部, 教授 (30293278)
谷口 洋 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40278437)
矢田 尚子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10451494)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 中国文学 / 楚辞 / 漢代 / 章句 / 注釈 / 王逸 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年6月に東京大学駒場キャンパスにおいて平成29年度第1回例会を開催し、本研究プロジェクトチームメンバーの田島・大野・谷口・矢田・田宮・野田・矢羽野隆男(研究協力者)が参加した。本研究計画の目的・計画・方法について再確認した後、4つの項目ごとに具体的な分析対象や手法に関する方針を固めた。 10月に山形大学小白川キャンパスにおいて平成29年度第2回例会を開催し、田島・大野・谷口・矢田・田宮・野田・矢羽野隆男(研究協力者)が参加して、各自の作業計画及び進捗状況について報告し、次月の国際学会参加について最終的な打ち合わせを行った。 11月に中国雲南省昆明市雲南大学で開催された屈原及楚辞学国際学術研討会曁中国屈原学会第十七届年会に田島・大野・谷口・矢田・田宮・野田が参加し、田島が「王逸《楚辞章句》〈卜居〉注的押韻」、大野が「王逸《九思》考」、谷口が「論劉向的《九歎》――西漢擬騒的帰結、東漢魏晋騒体賦的濫觴」、矢田が「再読賈誼〈弔屈原賦〉」、田宮が「日本楚辞学的黎明;亀井昭陽《楚辞ケツ》小考」と題する発表を行い、本研究計画の各項目について概要・目的を紹介し、初期段階での成果を発信するとともに、中国国内外の楚辞学研究者たちとの意見交換を行い、研究の将来的な方向性について示唆を得た。 平成30年3月に四天王寺大学あべのハルカスサテライトキャンパスにおいて平成29年度第3回例会を開催し、田島・大野・谷口・矢田・矢羽野隆男(研究協力者)が参加した。本年度の研究計画について進捗状況を各自が報告し、これをふまえて来年度の具体的な研究計画を決定した。また、再来年度の国際学会参加に向けた準備についても議論した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の4つの項目ごとに進捗状況を述べる。 (1)「王逸注の押韻」については、田島・野田が担当している。田島・野田の間で基本的な方針に関して6月に打ち合わせを済ませ、田島が具体的な検討作業を開始し、成果の一部を11月に国際学会で発表した。(2)「王逸注に見る屈原イメージの形成」 については、矢田が担当している。後漢の王逸による屈原イメージの考察に先立って、前漢の賈誼による屈原イメージを検討し、研究成果を11月の国際学会で発表した。また大野も「漁父」が独立した作品として『楚辞章句』に加えられた要因について示唆を得る成果を国内学会で発表した。(3)「王逸注が楚辞学史に果たした作用」については、田宮が担当する。基本的な準備作業を終え、個別具体的な問題を洗い出す段階に入っている。(4)「漢代詩経学と王逸注」については、大野・谷口が担当する。大野が後漢の王逸の楚辞作品「九思」についての検討を、谷口が王逸「九思」に先立つ前漢末の劉向の楚辞作品「九歎」についての検討をそれぞれ行い、王逸に至る漢代の楚辞作品や注釈に関する考察を各自の視点から進めている。研究成果の一部は11月に国際学会で発表した。 以上のように、4項目のうち3項目については成果の一部を発表するに至っている。残る1項目についてもほぼ計画通りに研究を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、前年度に引き続き4項目ごとに各自の研究計画を進める。メンバーの役割分担に変更はない。 9月上旬に長崎合宿を開催して各項目の研究内容について集中的に討論を行い、10月に例会を開催して本年度後半の研究計画を確認する。平成31年3月に例会を開催し本年度の進捗状況について振り返る。次年度(平成31年度)に屈原及楚辞学国際学術研討会曁中国屈原学会第十八届年会の開催が予定されており、本研究計画では当国際学会を研究成果発信の重要な機会として位置付け、メンバー全員での参加・研究発表を計画している。当国際学会の開催時期は未定であるため、学会参加を円滑に行えるよう、本年度中に十分な準備を進めることとする。4項目それぞれの進捗状況や他の項目との関連性については、メンバー相互の連絡を密にして計画の順調な実施を図る。メンバー全員が各々の進捗状況に応じて9月合宿と3月例会のいずれかで中間発表を行い、当国際学会での研究発表に備える。 また、研究成果の公開に関しては、最終年度(平成32年度)の最終報告書作成を視野にいれつつ、ホームページ等での速やかな公開を目指して、公開方法についての議論を進める。
|
Causes of Carryover |
例会開催・国際学会参加の際に必要に応じて研究費を執行したため、当該年度の実支出額が当初の見込み額下回ったが、研究計画に変更はない。 平成30年度9月に長崎合宿を開催する予定であるので、この旅費の一部に充てる。
|
Research Products
(9 results)