2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the HanYU-Ji in the Southern Song Dynasty and the Commentaries by WangBoda Being Transcribed and Kept in Japan
Project/Area Number |
17K02644
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
戸崎 哲彦 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (40183876)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南剣州軍王伯大刻本 / 昌黎集音釋 / 朱文公校定本 / 朱熹『考異』 / 『芝峯類説』 / 臨江軍王伯大刻本 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、王本(南剣州軍王伯大刻)と臨本(臨江軍王伯大刻)は正文・注文ともに99.9%以上が一致。臨本は校注を主とし、音釋は別本『昌黎集音釋』を成す。『音釋』で偶に相違するものは日本抄本の訛誤である。2、王本・音釋本は“從朱文公校定本”(王「序」)であるが、誤字脱字や坊刻失誤を考慮しても、朱熹『考異』と必ずも一致しない。王本・音釋本は完全な朱熹校定本ではなく、王伯大の判断も加味されている。3、篇目は王本・『考異』および『擧正』と異なる例が多く、王本の篇目も巻首総目と多く異なる。『考異』『擧正』は巻首総目を缺く。4、音釋本は王本旧音釋の増補であり、旧音釋は多く魏本に拠る。魏本のみの訛誤を踏襲する例10以上から証明される。また魏本は多く祝本に依る。ただし祝本は現存の集本『音註』ではなく、祝充『音義』(今佚)である。5、新音釋は宋人の評論(多くが佚文)の他、『太平御覽』『藝文類聚』等の類書を、字書は『廣韻』の他に『集韻』を、『文選』では五臣注本を使用。また洪興祖『辨證』(今佚)に直接依拠。6、廖本は「凡例」によれば朱熹『考異』に依り、魏本の注を斟酌して採用する。南宋集注本中、魏本の注は最も充実との定評が知られる。廖本の編集方針は王本と同一であり、「凡例」には王本の言及はないが、両本は注文においてほぼ一致する。しかし廖本の注には音釋本のみと共通する例が「元和聖德詩」「城南聯句」「秋雨聯句」「遠遊聯句」「雜詩」等に見られる。他の現存南宋本との比較から共通の注本の存在は想定し難く、音釋本も参用した、祝本→魏本→王本→音釋本→廖本の継承関係が想定される。7、音釋本は李朝にも伝来。音釋本のみに見られる長文の注(「エン城晩飲」中)との同一文が李朝鮮・李[日卒]光(1563-1628、号芝峯)撰『芝峯類説』(二十卷の類書)卷八「文章部一・古文」に引用。自序は萬暦四十二年(1614)。
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Research Products
(3 results)