2019 Fiscal Year Research-status Report
20世紀中国の文学形式と抒情の定型―ジャンル・言語・地域の越境面から見る
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17K02647
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
津守 陽 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20609838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東アジア / 中国 / ジェンダー / 沈従文 / 文体 / 他者表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は以下の面において研究を行った。 (1)北九州市立大学での開催を予定していた定例研究会については、3月中旬から3月末にかけての開催を目指して協議を重ねたが、代表者および研究協力者2名、海外研究者である連携研究者2名の日程の折り合いがつかず、令和2年度6月に延期することとなった。ただし目下発生しているコロナウイルス感染拡大の状況下では、予定していた令和2年6月の研究会開催について見通しが立っていないのが現状である。 (2)国内外の学会における口頭発表と論文発表:今年度は文学作品を書く行為やそれが取りうる形式と、その背後にあるポリティクスとの関係を、他者表象およびジェンダーの観点から研究し、1回の口頭発表と1本の論文公刊を行った。口頭発表としては、2019年10月にアジア学会議ニューヨーク会議において、民国初期の「新性道徳」をめぐる議論と沈従文における妓女の表象との関連を論じた。また論文発表としては、昨年度琉球大学で行った口頭発表をもとに、代表者が編集長を務めた下記(3)の論文集において「他者性を目撃するー「民衆」を記録する一人称の語り」と題した論文を刊行し、民国期の散文における他者表象と一人称の語りが生み出す可能性について論じた。 (3)中国・韓国・日本の文学を研究する若手研究者とともに続けてきたシリーズワークショップ「20世紀東アジア:越境する文学形式と思考の流動」の一区切りとして、代表者の本務校紀要である『外国学研究』93号において同題目の特集号を編纂し、刊行した。本ワークショップの活動は、本務校および本科研費の援助を受けて開催してきたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
代表者個人の研究状況としては、長年テーマとしてきた、沈従文と郷土文学に関する研究が総まとめの段階に入り、書籍執筆に専念するため、 当初計画していた日中戦争期以後の詩学・抒情性に関しては資料収集と分析を中断している。 また共同研究の活動は、毎年のワークショップ主催で順調に立ち上がってきてはいたが、2019年度を予定していた北九 州市立大学ワークショップは主要参加者の日程の折り合いがつかず、2020年度に延期することとなった。このため研究期間の延期を申請し、すでに認められている。ただし、ワークショップ開催および代表者が本年予定していた武漢出張に関して、コロナウイルスの感染拡大の状況下で今後の見通しも立っていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 北九州市立大学でのミニシンポジウム開催:当初予定されていた通り、連携研究者鳥谷の主催による北九州市立大学ミニシンポジウムを開催したい。研究協力者の2名および海外の研究者を招聘し、各人は前年度の研究成果を論文として報告する。
2.書籍購入および資料収集:代表者は東アジア全域のジェンダーおよびナショナリズムに関する図書を引き続き購入する。現状では図書館での資料調査について見通しが立たない状況のため、これまでに集めた資料の読み込みを中心とする。
3.論文執筆:代表者は民国時期における人物・風景描写の文体と抒情性を考える上で、ジェンダー・ナ ショナリズム・他者表象の観点から研究成果としてまとめる。
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Causes of Carryover |
令和元年度に予定していた北九州市立大学でのミニシンポジウムが延期されたため、海外からの招聘および学会論文集印刷などに用いる予定だった金額が残っている。また代表者の研究遅れにより、資料収集および書籍購入の費用も予定より少なくなった。2年度これらの使途に用いる予定である。
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Research Products
(5 results)