2021 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of Literary Styles and Lyricism in 20th Century China: Focusing on cross-genre, cross-lingual, and transcultural practices
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17K02647
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
津守 陽 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20609838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東アジア / 文体のポリティクス / 文学ジャンル / 身体表象 / 白話文体の生成 / 抑圧と逸脱 / 自己回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は以下の面において研究を行った。 (1)研究代表者である津守陽の主催により、神戸市外国語大学にてハイブリッド形式の学術ワークショップ「文学/文脈/声の痕跡ーー20世紀東アジアにおける言説の輻輳性」を開催し、連携研究者を含む7名の研究者による学術交流を行った。ワークショップは事前登録制による一般公開の形で行われ、30名弱の研究者によるオンライン参加があった。ワークショップ内では3名の研究者によって、沖縄側と在日朝鮮人側による「自己回復」をめぐる言説を比較する試みや、近代の白話文体が模索され始めた時期に台湾語を書記しようとした台湾話文詩の位置付け、また現在進行形で行われている中国語圏のブロマンス時代劇を読み解くための新しい回路の提示、といった内容で研究報告が行われた。今回は東アジア諸地域において、話者の声を抑圧するような何らかのコンテクストの上にあって、そこから逃れ出ようとする様々な想念や欲求を跡づけるかに見える、言説の重層性について、活発で有意義な議論が交わされた。 (2)国内外の学会における口頭発表と論文発表:研究代表者個人の研究実績として、2021年度は前年度の口頭発表内容に基づき、1本の学術論文を公刊した。論文内では1920年代の沈従文の短篇を題材に、そこに描かれる不可思議な性暴力の表象について、その背後にあると想定される近代中国の複数の文脈を、「レイプ表象」「妓女表象と性道徳論の関係」「匪賊表象とマスキュリニティ」「性病の描写と他者表象の困難さ」といった観点から読み解いた。 *研究期間全体を通じては、途中コロナ禍による研究の遅れはあったものの、当初予定していた論文集の刊行も2019年末に果たし、東アジアの文脈と言説をめぐる共同研究の一旦のまとめを最終年度のワークショップで行うことができたことから、一定の成果をあげたと考えられる。
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Research Products
(1 results)