2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K02648
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
松村 茂樹 大妻女子大学, 文学部, 教授 (70229532)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 長尾雨山 / 呉昌碩 / 岡倉天心 / ボストン美術館 |
Outline of Annual Research Achievements |
米国のボストン美術館には、「中国最後の文人」と称される呉昌碩の手になる「与古為徒」扁額が掛けられている。これは、当時上海在住の漢学者・長尾雨山が、ボストン美術館中国・日本美術部長であった岡倉天心に贈ったものである。岡倉は、ボストン美術館のために中国美術収蔵活動を行い、成果が高く評価されているが、本研究では、その根底に長尾や呉昌碩の助力があったことを指摘し、岡倉の活動が中国の文人的教養に基づいた高度なものであったことを提示し、近代において画期的成果を収めたボストン美術館を舞台とする日・中・米文化交流の重要なる意義を明らかにすることを目的とする。 この研究目的を達成するため、2018年度は、2017年度よりのボストン美術館所蔵資料分析、検討を引き続き行うと共に、あわせて、日本、中国における資料収集のための研究調査を行った。「研究実施計画」に記した米国ボストンでの研究調査は、研究の進捗状況に鑑みて、2019年度に実施することにしたい。 2018年度に刊行された関連研究論文は、「足未踏日本、名仍震東瀛―従与日本人士交流的角度看呉昌碩芸術的本質」〔中文〕2018・4 紫禁城(北京故宮博物院)2018年第4期、「河井セン廬的印学」〔中文〕2018・10 世界図紋与印記国際学術研討会論文集(西レイ印社出版社)、「呉昌碩と『呉氏宗譜』2019・3・20 大妻女子大学紀要-文系- 51号、「呉昌碩の官途」2019・3・31 中国近現代文化研究20号の4本であるが、すでに入稿済の研究論文として、「長尾雨山の近代日中美術交流における貢献」アジア遊学 特集日本から見た東アジア近代美術、「日本人士による呉昌碩展覧会と図録」関西大学論文集山本竟山の書と学問、「長尾雨山と依水園」中国文化第77号、「長尾雨山と書画文墨趣味ネットワーク」書論第45号の4本があり、2019年度刊行の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費をいただいているおかげで、必要な研究調査を行え、入稿済を含めると、7本の研究論文を書くことができ、成果を収め得たため。ただ、「研究実績の概要」にも記したように、2018年度実施予定であった米国ボストンでの研究調査を研究の進捗状況に鑑みて、2019年度に実施することにするなどの調整を行った。2019年度はこの調整を活かして研究を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は3年計画の最終研究年度となる。研究計画に大きな変更はないが、上記のように2018年度に予定していた米国ボストンでの研究調査を2019年9月に行い、3年間の研究成果をまとめたい。
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Research Products
(8 results)