2017 Fiscal Year Research-status Report
Toward an Integrated Theory of Narrative Renewal Based on Cognitive Narratology and Possible Worlds Theory
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17K02660
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片渕 悦久 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30278147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GARLINGTON Ian 関西外国語大学, 外国語学部, 助教 (30757323) [Withdrawn]
鴨川 啓信 京都女子大学, 文学部, 教授 (60314788)
小畑 拓也 尾道市立大学, 芸術文化学部, 准教授 (60364121)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 物語更新理論 / ストーリーワールド / メンタル・イメージ / 可能世界論 / 認知物語論 / 物語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、物語更新理論の基本モデルを使いながら、さまざまなジャンルやメディアによって表現された物語テクストを検証した。研究代表者片渕は、英米文学のキャノン作品から派生したいくつかの映像作品を中心に、物語更新のありようにかんして考察を加えた。また、これと並行して、認知物語論や可能世界論、またアダプテーション理論など、物語更新に関連に関連する研究分野の最新理論書をとりあげ、それぞれの理論的動向を整理し、それをつうじて物語更新理論の発展的修正の可能性を探った。こうした当該年度の共同研究活動の総括として、英語共著論文を脱稿し、専門学会誌への投稿を行った。 なお、研究分担者の一人であったイアン・ガーリントンが研究機関を離職したため、研究グループから離れた。これにより、当該研究グループは代表者片渕のほか、研究分担者の鴨川、小畑をあわせた3名に研究協力者の武田を加えた計4名で活動することとなったことを付記しておく。 本年度の研究実績は、研究代表者片渕が、単著『物語更新理論 実践編」を上梓した。研究論文の発表はなかったが、現在片渕、鴨川、武田による共著英語論文 "Toward a Theory of Narrative Renewal"を Storyworlds 誌に投稿した(審査中)。口頭発表としては、片渕と鴨川がテクスト研究学会第17回大会において、シンポジウム「アダプテーションの境界」において、片渕が司会兼講師、鴨川が講師として研究発表した。このほか片渕は、日本英文学会関西支部第12回大会において、シンポジウム「アダプテーションの内と外」において講師として研究発表したほか、静岡文化芸術大学において物語更新理論に関する特別レクチャー(招待講演)を行った。また小畑は、尾道市立大学公開講座にて、SF敵想像力に関する発表を行ったことを付記しておきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主に物語更新理論の発展的修正を含む、理論体系の精緻化と、具体的事例研究へのその応用をめざすことにあった。研究グループの人員減少があったものの、英語共著論文の投稿、またその他研究発表や講演等をつうじて研究成果の発信も達成されており、当該年度における研究の進捗状況はおおむね良好であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目は、物語更新理論を支える中心概念である「ストーリーワールド」について、可能世界論、また物語の受容にかかわる認知物語論の研究動向に注目するつもりである。とりわけ両理論の相互影響を分析しながら、物語更新理論の改良に向けてその応用可能性を探っていきたい。 その過程で、前掲投稿論文の採否に応じてその後の研究の推進の方向性は変わる可能性があるが、いずれにせよ、さらなる文献収集と情報交換をめざし、そのための海外および国内出張も計画する。また研究代表者、分担者、協力者それぞれが研究発表や論文の執筆をつうじて活動を行い、あわせて研究グループによる次なる共著論文の執筆についても、その可能性を探るつもりである。、
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Causes of Carryover |
(理由)本研究課題の継続的な発展および充実をはかるうえで不可欠であると判断される部分、とりわけ次年度以降に共同執筆予定の英語論文および研究書等の校閲費、また海外出張棟に見込まれる費用を担保するため、初年度の研究費の執行を抑えることを考慮したため、実際の執行額が当初予定していた見込み額と異なることとなった。
(使用計画)上記の理由にもとづき、研究年度3年での総合的な予算執行を見越した支出の抑制を。実際の研究遂行に支障をきたさない範囲で行ったものであり、今後の研究計画そのものに対する変更を加えることは考慮していない。本年度の残額を次年度分として請求される助成金とあわせ、当該および関連研究分野の図書等の資料収集、研究旅費、またウェブページの更新費用等に有効にあてていく計画である。
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Research Products
(5 results)