2018 Fiscal Year Research-status Report
Toward an Integrated Theory of Narrative Renewal Based on Cognitive Narratology and Possible Worlds Theory
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17K02660
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片渕 悦久 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30278147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GARLINGTON Ian 関西外国語大学, 外国語学部, 助教 (30757323) [Withdrawn]
鴨川 啓信 京都女子大学, 文学部, 教授 (60314788)
小畑 拓也 尾道市立大学, 芸術文化学部, 准教授 (60364121)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 物語更新 / 物語論 / 物語 / ストーリーワールド / 可能世界 / 認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、メディアやジャンルの枠を越え、同一とみなされる物語が形を変えながら再生産されるという現代表象文化において顕著な事象のありようを解明することを目的つする。この研究課題を検討するため、研究代表者、研究分担者2名、および研究協力者1名は、共同で物語更新理論を開発した。これを土台に、認知物語論および可能世界論という物語研究の分野で注目されている最新のアプローチを取り入れることで、物語が更新するプロセスとそのメカニズムを解明する理論としての発展可能性を探るための研究を重ねている。 平成30年度は、当該理論のさらなる整備をめざし、ひとつの物語が固有にもち、受容者が想定するひとつの可能世界としての「ストーリーワールド」が、認知物語論と可能世界論の接点をかたどる概念として、どのように物語受容および創造の問題とかかわるのかについて、物語論の最新の研究動向を探りながら検討した。 その成果をふまえ、研究代表者片渕は、静岡文化芸術大学において招待講演「物語更新とは何か?」を行い、また物語更新理論の概論にあたる単著 Narrative Renewal Theory: A Brief Introduction を出版した。これは、物語の定義、物語論の発展の歴史の振り返りからはじまり、更新の概念の説明や、それにもとずく理論体系と実践可能性の提示した理論書である。研究分担者小畑は、日本英文学会中四国支部第71回大会シンポジアム『人間性の更新』において、「融合と転生--SF的異類婚姻譚と視覚映像文化の現在」というタイトルで、SFにおける「異類婚姻譚」要素の変遷(継承・更新)を日本のアニメ、アメリカの映画およびカートゥーンの事例を中心に考察した。他の研究分担者および研究協力者も、本年度も具体的成果は得られなかったが、次年度に向けた研究成果のまとめを遂行中であることを付言しておきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物語更新理論の整備と、その実践としての個別事例研究については、研究代表者、研究分担者、および研究協力者の間で、適宜協議しつつバランスをとりながら、考察を進めている。また。物語更新理論を下支えする可能世界論と認知物語論の最新動向についての情報収集についても主要文献の収集とそれらの研究組織内での情報交換と共有を行いながら、それらを実践研究に向けた考察に移行するための準備的研究を各自進めている。業務の関係で海外出張については行えていないが、インターネット等をつうじて、海外研究者とのコミュニケーションも視野に入れて、最新の研究動向の把握に努めている。そうした点をふまえ、研究課題の進捗状況はおおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
先行課題においてこれまで行ってきた研究、および本課題でのこれまで2年間で積み重ねてきた研究成果を総括し、あわせて関連する認知科学や現象学等の研究分野の知見も取り入れた新たな物語研究のための理論的提案を行うことをめざしている。ことで、物語論の発展に貢献する。そのための具体的方策として、研究代表者、研究分担者および研究協力者は、共著による理論・実践書『物語更新』(仮題)の原稿執筆と出版に向けた準備作業を行う。またこれと並行して、共著または単著による国際物語研究学会(The International Society for the Study of Narrative)への英語による研究発表の応募、および当該学会誌への投稿を視野に入れた英語による論文の執筆を行うことを構想している。
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Causes of Carryover |
当該年度における研究を遂行するにあたり、研究代表者および研究分担者それぞれの業務の都合等により、計画段階での研究内容の修正が生じたために、研究のために必要とされる物品の購入や国内および海外出張が見送られた。そのために次年度使用額が生じている。しかし、これらについても次年度で請求した助成金とあわせ、研究書や研究の遂行に必要な備品等の購入、研究調査や関連学会への参加等にともなう国内外出張のための旅費使用が予定されており、研究上の最終年度での使用計画については問題がない。
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Research Products
(3 results)