2017 Fiscal Year Research-status Report
女性教育者とそのTransnational Networkに関する比較文学的研究
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17K02661
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小橋 玲治 大阪大学, 文学研究科, 助教 (60756435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 順光 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (80334613)
堀内 真由美 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60449832)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 女性教育者 / 安井てつ / E. P. ヒュース / Transnational Network / フィリス・オーフリー / アグネス・スメドレー(Smedley) / H・P・シャストリ(Shastri) |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は各自がそれぞれの領域で研究を行った。 研究代表者・小橋は、研究に関連する二度の国内学会及びシンポジウムの参加、一度の国内調査、一度の海外調査を行った。英国ウェールズでは、カーディフにおいて彼女の二度目の渡英時の留学先であるカーディフ大学を訪ね、彼女のその時の指導教授についての調査を行った。National Library of Walesでの調査では、彼女がAberystwythで開催されたTeachers' Guild of Great Britain and Irelandの年次大会に参加した事実を発掘し、同地におけるケンブリッジ留学時代の安井てつの足跡を追うことが出来、その会場であったRoyal Pierの現状の確認も行った。また、E.P.Hughesの生家跡や晩年を過ごした住宅跡、そして彼女の埋葬場所を確認し、彼女がいかにウェールズという地とともにあったかを実感出来た。今回はロンドンには一日しか滞在しなかったため十分な時間は確保出来なかったが、National Archivesでは今後の調査に資するための事前調査を行った。さらに、課題に関係する三本の論文を執筆した。 研究分担者である橋本は、Agnes Smedleyについて調査を行い、彼女と大川周明らアジア主義者には共通のインドの友人がおり、それゆえ彼女に注意するよう英国の諜報員シャストリが日本政府に通報していたことなどを明らかにした。同じく研究分担者である堀内は、英連邦ドミニカでの調査を行う予定であったが、天災によって調査地をロンドンに改め、同地での調査によって貴重な資料を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安井がケンブリッジ留学時代すでにウェールズを訪ねていたことが判明したことで(刊行もされている安井の書簡集である『若き日のあと』には、この時期の手紙は掲載されていない)、これまでほとんど個人間の友情という枠組みによってのみ語られてきたヒュースとの関係が、組織に組み込まれたものであること、そして、ヨーロッパに来おける日本人である安井、イングランドにおけるウェールズ人であるヒュースという同質性によった紐帯であることという自身の予想を裏書きするものとなった。また、日本人女性による登山においてヒュースが果たした功績という新たな研究の可能性も見出すことが出来、国内外で多くの事実の発掘を行った。 他二名の研究分担者も、天災による予定の変更等あったものの、訪問先を変えることで別の事実の発掘に努めることが出来たため、全体としてはおおむね順調に発展していると判断するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒュースの講演が本当に日本人女性の登山熱を刺激したのかどうか、1905年に初めて女学校の活動として登山を行った長野県で調査を行う予定であり、前年度の調査で得られた資料と併せて、二年目は何度かの研究発表を行う予定である。8月には12th IFRWH Conference(バンクーバー、カナダ)において、これまでの研究に基づき口頭発表を行う予定であり、その後女性学関係の雑誌に論文を投稿する。また、前年度National Archivesでの調査が不十分であったため、再びイギリスで調査を行う。 個々人がそれぞれの領域で自身の研究を行っていき、次年度に予定している研究発表に備える。
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Causes of Carryover |
研究分担者である堀内の英連邦ドミニカでの調査が天災によって渡航不可能となったため、ロンドンに変更となり、渡航費用に大幅な差額が生じた。次年度は同様のことが起こらない限り、計画通り資料収集をドミニカでも行う予定である。
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Research Products
(9 results)