2018 Fiscal Year Research-status Report
中国雲南省大理白族の白文資料の基礎的研究―白文語彙・用例の収集と解読法の確立―
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17K02665
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
立石 謙次 東海大学, 文化社会学部, 准教授 (50553426)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中国雲南省 / 白族 / 白文 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度における論文などの研究業績は以下の通りである。 1)「雲南省大理白族の白文表記の用法」『中国語文学会 150回例会記念 学術研究論文集』中国語文学会、2018年、25-38頁。 2)「大理白族の白文の形成とその用途」『アジア遊学231-雲南の書承文化-』101-118頁。 1)について同文では本課題の研究成果として白族の白文(ぺー文)に関する研究史を確認した。これにより近年の白文研究がほぼ白族話者の研究者によっておこなわれてきた事実を具体的に再確認することができた。加えて同文では報告者等が前年度に発表してきた白文テキストの分析に関わる研究成果をもとに明らかになった、実際のぺー文の用法について分析を加えることにより、ぺー文の特徴について明らかにすることができた。 2)について、これまでの研究で明らかになってきた白文の形成過程について論述した。具体的にはぺー文のもととなる用例として、早くは唐代雲南地方に展開した南詔国の時代にはすでに存在していたことを明らかにした。ただし現在の白文につながる用法は、それよりも後の元末民書の時代であることもわかってきた。この論文では研究者のみならず、一般の国民に理解してもらえるような内容・文体をめざし、執筆・発表した。 また、口頭発表については以下のものがある。「白族白文的形成歴史――Berp cvf berp sif nao xiep cep lif sit」(日本語タイトルは「白族白文の形成史」)を中国の大理市歴史文化研究所の「大理歴史文化特約専題講座」の一つとして発表した。調査地である大理地方にて、中国語にぺー語を交えて発表をおこなった。調査地にて現地の言葉を交えて発表したのは、本研究の意義を現地の方たちに理解していただき、その研究成果を現地の方々に還元する意図があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度において、すでに白文(ぺー文)テキスト1本の翻訳・分析した資料を1冊、中国にて出版することができている。さらに2018年度には、二度にわたる現地調査(2018年8月6日-8月20日、2019年2月27日-3月8日)を実施した。この調査を通して、本課題の目標である「用例集」本文の校正を一通り終了させてており、今年度中の報告書出版を実現できると考えられる。また中国での出版と発表及び日本における本課題に関連する論文を2件発表することによって、目標の一つとしていた調査地の方々及び日本国民に対しても研究成果の途中経過を一部分ながら発表することができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、本年度末の報告書の出版を目指す。具体的には4月-6月にかけて、国内の研究協力者と共に執筆・校正作業を重点的におこなって行くこととする。8月に中国雲南省の調査地を訪問して、現地研究協力者の援助のもと、国内における校正作業にて明らかになった問題点を解決していくことにする。2月までには校正を完成させたうえで、再び雲南省の研究協力者と共に最終チェックをおこない、報告書の出版とWeb上での発表を実現させることとしたい。
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Causes of Carryover |
まず報告書出版費用としておよそ500,000円、そして出版を実現するために、調査期間中2度の現地調査の実施を予定している。このため2019年度7-8月及び2020年2月-3月にかけての、調査地への渡航費用と調査にかかる経費にて、およそ400,000円が必要となる。調査にかかる費用のうち、主なものとして中国への渡航費として\100,000×2回、中国国内での宿泊費、移動費、また研究協力者への謝金として\100,000円×2回が必要である。
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Research Products
(4 results)